ベトナム雑貨よもやま話
まだまだ続く開店準備(レストラン編)
ハノイに来て早くも3ヶ月が過ぎた。新しくなったノイバイ空港に降り立った3月末の寒さが嘘のように、立っているだけで汗が流れ出すこの頃の天気。ハノイには四季があると言うが、日本のようにだんだん暑くなるのならまだしも、昨日は冬、今日は夏というこの天気にはさすがに参った。
小生、ハノイにレストランを作りに来ているのだが、この道では素人同然。七転八起の毎日で、あっという間の3ヶ月だった。スタッフの入れ替えやヘッドハンティング、いろいろ試してなんとかまとめた店。ただこれからが本番、お客様に来て頂いて判断をしてもらわなければならない。
さあ、じゃ〜オープンしよう! 新しいタイ人マネージャーに声をかけて、準備完了と思っていた私に返ってきた返事は、「え〜!? もうオープンするつもりなのか? まだ全然準備ができてないよ」。どうしてだ! スタッフはいるし、器は揃ったし、新しいシェフもそれなりの料理を作るというのに何が足りないんだ!彼いわく「これでは他のレストランと全く同じ。何もおもしろいものがない。これでお客様を呼んでも・・・」。それは分かるが、私も困る。関係者にはもうすでに宣伝をしているし、社長は「一体いつまで準備に時間をかければ済むんだ!」とちょっとイライラ気味。明日にでもオープンしたいくらいなのだ。マネージャーとの話し合いが三晩。そろそろキレてきた私。友人が少ないハノイでは、遊びに行くのも週1回程度。キツ〜イ。
話し合いの結果の妥協点は「まず、料理はこのままで行こう。だが『タレ』はこのままではダメ。オリジナルのタレを少なくても10種類用意してから店をオープンしよう」と言うのが彼の提案。もちろん従うしかない。ベトナム料理はタレにつけて食べるのがポピュラー。代表的なヌクマムから、みそ系、タマリンド系、ピーナッツ系といろいろある。彼はタイ人。ご存知のようにタイ料理のタレはとても美味しい。そして実は、これがベトナム料理にもとてもマッチするのだ。言うは簡単だがどうやっておいしいタレを作るか、素材はどうするのか、まだまだ課題が残る。「スーパーで買って来たら」と言う私の安易な提案はすぐに却下。「それではお客さんが来ないよ、他の場所で食べられない味にして初めてお客さんが戻ってくるんだ」。確かに理屈は分かるんだけど・・・。
節電のためにエアコンを切った店内。ムンムンと熱気がこもる厨房。あとどれくらい私はここで耐えなければならないのだろう・・・。お客様で一杯になったフロアを夢見て、さあ、もうひとふんばり頑張ろう!あ、ひとつ追加情報。店のメンバーにとっても面白い日本人スタッフ「ウッキーたんの君」が加わりました。彼の面白さは底なしです。ぜひ彼に会いに来て下さい。
文=八木 伸樹
(ベトナムスケッチ2003年8月号) |