ベトナム雑貨よもやま話
騙されないルビーの買い方
ベトナムでも宝石が取れる。意外と知られていない事実だ。主にルビーとサファイヤ。ルビーといえばタイやビルマも有名だが、陸続きであるベトナム、きっと何かつながりもあるのだろう。主な産地は北部。南で売られている商品にはカンボジア産もよく見かける。ただ残念な事に非常に多くの偽物も出回っている。そういうわけで、今回は偽物宝石のお話しをしよう。とは言っても小生、宝石鑑定家ではないので参考程度と考えて読んでほしい。
今多い偽物の一つは「人工宝石」だ。実はこれ日本でも作られているそうで京セラ製等が有名。勿論これが日本で売られるときは、人工宝石とはっきり表示されているので安心だが、ここはベトナム、そんな事お構いなしで堂々と店頭に出ている。この商品の難しいところはガラスで作った偽物とは違い、硬さが本物の宝石と同じに作ってある点だ。ルビー、サファイヤはダイヤモンドの次に硬い石。石の硬さを計る「モースコード」という機械があるのだが、偽物もこの機械で見る限りは本物と同じ硬さがある。それを悪用して騙されたと言う話しも何度か聞いた事がある。
でもこの商品、少しの注意で見破る事ができる。一番簡単なのがルビーだ。まず幾つかの商品を出して貰った時、同じ色の綺麗な商品がどんどん出てくる店は眉唾もの。特に透明であまりにも大きいルビーが出て来たら注意。時々10カラットはあるのではないかと思う綺麗なスルーが出てくるが、もしこれが本物だったらきっと世界一のルビーだ。通常スルーの天然ルビーは1カラットあれば大きい方、2点として同じ色の石はまずない。多少の傷や内容物は当然で、逆にそれが天然の証しでもある。また星が出るスタールビーの場合も、あまりにも綺麗に星が出ているのは少し変だと思った方が良い。もう一つの安全策は「鑑定書」だ。ただここで一つの注意点は、お店で発行するだけの保証書と鑑定書は違うと言う点。
お店の保証書は「この商品についてお店が保証します」と言うだけのもの。そのお店が信用できれば良いのだが、こちらは旅行客、もし何かあっても日本からではクレームをつけ難い。と言う事で一番安心なのが「鑑定書」と言う事になる。これは公認の鑑定所でないと発行出来ないし、日本でも通用する国際基準のもの。これをお店に作ってもらってから購入するのが一番の安全策だ。ただ、この鑑定書を作るには鑑定所に持っていって半日程待たなければ結果が出て来ない。あまり安価な商品ではしぶられる場合もあるがそこは交渉次第。鑑定料金もまあまあするので、そのへんは買いたい商品によって判断するしかないだろう。
いろいろ書いたがやっぱり買い物は楽しくしなきゃ損。気に入った石を納得の値段で買って旅の記念にする、もしそれが偽物だったとしてもそんなに怒らないで、自分の目が利かなかったんだと言うくらいの気持ちで買い物すると、意外に面白い裏が見えてきたりして、見る目も肥えてくるんじゃないかと思います。
文=八木 伸樹
(ベトナムスケッチ2003年4月号) |