ベトナム雑貨よもやま話
大変だったアオザイファッションショー
突然、お得意様から電話が入った。「実はさー、来週来るお客様がアオザイのショーを見たいって聞かないんだ。お宅はアオザイ屋だからお店の中でやってくれないかな〜」
う〜ん困った。アオザイ屋と言われればそうなんだが、アオザイを売るのとショーをやるのは全然違う。でもまあ楽しそうだし、やってみることにした。でも、プロモーターに頼めば全部やってくれるのだが予算が限られている・・・。ということでいろいろ考えた結果、何人かのプロモデルに来てもらって指導してもらいながら店員と共演することにした。そうと決まったら早速練習開始。1人の先生を雇い閉店後の特訓、店員たちもだんだん乗り気になって来て良い感じ。アオザイ屋だから着替えのアオザイはいっぱいあるし、場所も何とか取り繕える。じゅうたんを敷いて照明を付けて簡易ステージも完成。
しかし問題発生。お客様のリクエストは1時間位なのに、リハーサルでは合計6名ほどで「出て、歩いて、引っ込む」だけではものの10分で終わってしまう。「出来るだけ長引く歩き方にしてみるけど、同じ服を何分も見せられたらお客様もあきちゃうし」とのこと。結局人数を10名に増やし、途中に民族楽器の演奏を入れて1時間のステージの段取りを完成。
そんなこんなの間に本番当日。ビシッと化粧をしたプロモデルさん、やっぱりプロ。気合が違う。練習の時に手伝ってくれたモデルさんだが、その時のイメージと今日の「決めた」顔、全く別人だ。さすが! それに比べると店員達、頑張って化粧してくれたのだがやっぱり素人は素人・・・。さて、さて店内の電気を消してスポットライトをつけるとそれらしくなってきて、いよいよ開幕だ。はじめは店員から歩かせたが、お客様もまあまあの反応。いよいよモデルさんの登場。それらしくモデルさんの紹介を入れるとお客様から「オ〜」というため息。やっぱり自分の見せ方を心得ている。特におどろいたのは着替えの早さ。アオザイなら30秒位で着替えてしまう。
あっという間に1部終了、演奏をはさんで2部目のショー。今回はイメージを変えてモデルさんたちがお客様一人一人にスマイル。感心したのはこんなに小さな少人数のステージでもモデルさん達がきちっとやってくれたことだ。勿論お金を払って来てもらっているのだから当然だが、考えていた「鼻が高くて・・・」という様子がなかったのには感心した。なごやかな雰囲気のままステージは終了し、お客様にも大きな拍手を頂いて「あ〜、終わった」。きっと、日本にいたらこんなことやる機会なんて無かっただろう。せっかく来られたお客様に少しでも楽しんで頂ければこんなに嬉しいことはない。これからもいろいろなことにチャレンジしてみようと思います。
※定期的にショーをやる予定はありませんのでお問い合わせはご勘弁下さい。今後、私共のハノイ店にあるレストランでアオザイショーをやりたいと思っています。オープンしましたらご案内さて頂きますのでご期待、宜しくお願いします。
文=八木 伸樹
(ベトナムスケッチ2003年2月号) |