「おめでとう!」
1年に2度あるベトナムでのお正月。新暦の正月は、あっけないほど何もなく過ぎていく様に、日本人なら肩透かしを食ったような気分を味わうかもしれません。
というのも、新暦の元旦もちゃっかり休みになるものの、ベトナムでは主に旧暦の正月を盛大に祝う習慣があるためです。ベトナムの旧正月は、一般的に「」と呼ばれ、年によって新暦での日付が変わります。
ちなみに「 (テット) 」とは「正月」を指す言葉。特に新暦を意味する場合は「 (テット タイ) 」(西暦の正月)や「 (テット ズオン リック)」(陽暦の正月)と言い、それに対して旧正月は「 (テット ター)」(自分たちの正月)、「 (テット コー チュイェン)」(昔ながらの正月)、「 (テット アム リック) 」(陰暦の正月)などと表して互いを区別します。
「明けましておめでとう」の表現「 (チュック ムン ナム モーイ) 」は、2006年1月号でご紹介しました。実は、この表現に続けてよく言われる別の表現があります。
■ (ヴァン ス ニューイー)
(「万事如意」=全てがうまくいきますように)
■ (アン カン ティン ヴーン)
(「安康盛旺」=穏やかで健康な生活と繁栄をお祈りします)
■ (ナム モーイ ハイン フック)
(「新年幸福」=今年1年が幸せでありますように)
例えば「 (チュック ムン ナム モーイ)」と声をかけるだけだと「おめでとう!」と軽い印象。「 (チュック ムン ナム モーイ ヴァンスニューイー)」(明けましておめでとうございます。今年も良い年になりますように)と言えば、相手を気にかけている、という丁寧な印象を与えることができるのです。ちなみに「 (チュック ムン ナム モーイ)」は、正月の前にも言われることがあります。
ところで、お正月に付き物といえば、お年玉。ベトナムでは「 (リー シー)」と呼ばれ、親族のみならず、近所の子供からお年寄りまでがあげる対象です。日本と少し違うのは、小額で数多く配られること。めでたいとされる赤のお札(旧1万ドン、新5万ドン札など)をお年玉袋に入れてあげるのが一般的で、いくつものお年玉袋を用意して、正月に配り歩いたりします。
街で知り合いにばったり合ったら「 (チョー トイ リー シー)」(お年玉ちょうだい!)なんて言われることもしばしば。時々英語で「Lucky Money! (ラッキー マニー)」といわれるように、金額の多少よりも、幸福を分け与えるという意味があるためです。普段からお世話になっているバイクタクシーの運転手や、近所の人などに渡せば喜ばれることでしょう。
人にあげるときは「 (ナム モーイ トイ リーシー チョー アン チ)」(私からの新年のお年玉です)といって渡しましょう。これで、今年(2007年2月17日のテトは、ちょっとベトナム流のお正月気分を味わうことができるかも。
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