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小林さんが看護師を目指したのは、高校時代に出会った1冊の本がきっかけだった。発展途上国の子どもたちを低賃金労働の犠牲にすることで、先進国の経済が支えられている状況について書かれた『子どもを喰う世界』という本がそれ。この本を読んで、発展途上国の子どもたちのために何かをしたいと、看護師になる決意をしたという。 大学卒業後、病院での勤務で実務経験を積んだのち、カナダへ留学。将来、海外の医療現場で働くことを見据えた医療英語の勉強のためだった。そして2008年、念願の国際医療ボランティア「アムダ/AMDA」研修生として、ベトナムの地に降り立つことに。 「初めて訪れたハノイの街は、予想していたものとはかなり異なりました。とても都会的で、私が役に立てる部分などないように思えて」。 しかし、任地へ赴いてからは、その印象が大きく変わる。配属先は、北部山岳地帯にある山岳民族の村。メディアや教育による、衛生や健康に関する情報が行き届いているとはいえない地域だった。ほとんどの家にトイレがなく、濁った川で子どもたちが遊んでいた。 彼女が所属するチームのそこでの活動は、トイレの設置を進めることと、衛生面向上のための村民リーダーを育てることだった。 「用を足したら手を洗うといった、ごく基本的なことから教える必要がありました。仕事は大変でしたが、村人たちはとても親切で人懐っこく、生活は楽しいものでした。新しく作ったトイレを、自分がいかに清潔に使っているかを見せにきてくれる村人たちの笑顔に、達成感を感じることもできました」。 研修終了後、もう少しベトナムの医療現場を、とくに都会の医療を見てみたいという気持ちから、ハノイのクリニック「インターナショナルSOS」へ。 「現在の勤務先は外国人患者が多く、看護師たちも、日本や欧米と同じような看護をおこなえるよう訓練されています。しかしベトナムでは、看護という仕事に対する考え方が、日本とはまったく異なることに驚きました」。 ベトナムで看護師になるには、病院付属の学校で2年間、医師の授業を簡単にしたような内容を勉強するのが一般的だ。 「いわばベトナムの看護師は、『ミニドクター』ともいえる存在なのです。日本では医師の領域とされ、法律上看護師はおこなえない処置もこちらではできます。技術面では、日本よりも優れていると感じることも少なからずあるのです」。 しかし、患者のからだを清めたり、食事をするのを手伝ったりといった、日本で看護師の仕事とされているようなことはしない。そういったことは、付き添いの家族の役目とされているのだ。 「たしかに今のところ、ベトナムでは親族や地域社会の絆が強く、それでもいいのかもしれません。しかし、都市部を中心に急速に核家族化が進んでおり、そう遠くない将来、看護師の役割は変わっていかざるをえないはずです。ですから今の職場の看護師たちに、日本での行き届いた看護ケアについてできる限り多く伝え、ベトナムにおけるこれからの看護の発展に、少しでも役立ててもらえればと考えています。もともと親切な文化を持つこの国は、よい看護師が育つ土壌があると思うんですよね」。 (2009年12月号/ 2010年1月26日 火曜日 15:23 JST更新) |
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