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久保田さんが飲食業界に関わったのは、手打ちそば屋が最初だった。 「水や調味料、素材選びなど、料理の基礎をみっちり仕込んでもらいました。でも、自分のやりたい飲食業とは方向が違う気がして」。 次に選んだのは、創作料理店やカフェ、居酒屋などのさまざまな外食店を経営する会社。 「会社の方針である『エンターテイメントとしての食』というのに惹かれたんです。コンセプト作りから内装、メニューや味付け、盛り付けなど、さまざまなアイデアを出して、実現していく過程を楽しめました」。 ここで10年間にわたって料理長を務めたが、気がつけば日本の外食産業は、エンターテイメント性を追求するあまり過激になりすぎ、味より奇をてらう店が増えていた。そんな状況に嫌気がさしていたところへ、ハノイで店をやってみないかという誘いが。こうして2007年9月、初めてハノイの地を踏むことになった。 「かつて私がこの世界に進んだ頃の日本と、同じ空気を感じました。おいしいものはあるけれど、『エンターテイメントとしての食』という観点ではまだまだ未開拓。でも人びとはそれを求めている、ここでならやりたいことが、まだまだたくさんできる、と」。 1年近く準備を重ね、最初に出店したのは、素材にこだわった本格志向の焼肉店。ベトナム人に受け入れられやすいものを、と考えた結果だ。 「ベトナム人の嗜好に迎合するのではなく、あえて在住日本人の舌を満足させられる、世界標準を目指しました。日本や世界で通用するものは、ベトナム人にも受け入れられるはず、との信念からです。ただし、タレだけは日本人向きのしょう油ダレとは別に、ベトナム人にも合う、甘すぎず辛すぎず、というものも用意しました」。 店は久保田さんの狙い通り、日本人だけでなく、ベトナム人にも評判となった。 「ただ、『焼肉櫻』に来られるのは、裕福なベトナム人に限られるんですよね。でも、庶民も食にエンターテイメントを求めているはず。彼らにも日本の味、そして日本の食を紹介したい、と思うようになったんです」。 そこで始めたのが、客の目の前で調理するスタイルのお好み焼きとタコ焼きの店。 「人は誰でも濃厚な味にはまりやすい、というのが私の持論です。だからベトナム人もソース味にはまるに違いない、と。場所も、ベトナム人の買い物客で賑わう、ショッピングセンターのフードコートを選びました。予想通り、ソース味は好まれましたが、熱々をほおばるのがおいしいタコ焼きに関しては、反応が今ひとつでした。目の前で丸く焼いていくパフォーマンスはエンターテイメント性抜群だったのですが。ベトナム人はネコ舌なのかもしれません」。 さらに彼の挑戦は続く。次にオープンしたのは牛丼店。ごはんにおかずをのせて食べるベトナムでは、牛丼が受け入れられる素地があると考えてのことだ。これも人気を呼び、地元メディアから取材を受けるようになった。 「今後も、支店を増やすとともに、新しいことにもどんどん取り組んでいくつもりです」。 彼の試みが、ベトナムの「食」を変える日が来るかもしれない。 (2009年10月号/ 2010年1月26日 火曜日 15:23 JST更新) |
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