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1US$=1ドン。耳を疑うようなこんなレートが存在した時代に、日隈さんはハノイで学生生活を送った。 「留学のために初めてハノイへ来たのは、日本と現在のベトナム政府が国交を樹立した直後の1973年のこと。当時は、フォーが1杯1ドンでした」。 留学後、大学でベトナム語を教えたのち、商社でベトナムとの貿易を担当。そのとき現在所属する「アイム・ジャパン」から、現職へのオファーが。同財団は、主に日本の中小企業から要請のあった職種に合う人材を、多くのベトナム人候補者の中から選抜し、日本の言葉や習慣、技術などの訓練を経て、研修生として派遣することを主な業務にしている。また、在日中の研修生のケアや、東南アジア進出を検討している中小企業のサポートなども行っている。 「商社の仕事も楽しかったのですが、この仕事の大きな部分を占める『人づくり』に、やりがいを感じて転職しました」。 同財団は、インドネシアやタイからも研修生を日本へ送り出しているが、とくにベトナム人研修生は人気があるという。 「ベトナム人は全般に真面目で、文化的に日本に近いこと、宗教的制約がないことなどが人気の秘密のようです」。 未曾有の大不況に見舞われている日本だが、途上国の人材育成に関心のある企業や、自社のベトナム工場の責任者を育てたい、または研修生をベトナム進出の足がかりにしたいという企業も多く、研修生の需要は今も減少していないそうだ。 帰国した研修生には、日系企業に就職する者が多い。日本語を話し、日本の職業上の慣わしにも明るいため、重宝されるのだ。 「日本への研修1期生の中に、研修中に日本語能力試験2級を習得、帰国後に大手日系企業に就職し、責任ある立場に抜擢された人がいます。成功の秘訣を訊ねると、『なすべきことを自身で自覚することです』という答えが返ってきました。『人づくり』を実感できた瞬間でしたね。とても嬉しかったです」。 日隈さんの願いは、ベトナムには出稼ぎ国家にはなってほしくないということ。 「日本での研修終了後は、日系企業でも地元企業でもよいので、日本で学んできた技術をベトナムで活かし、彼らがさらに、次の人材を育てていくことが理想です。自分で事業を起こし、新しい雇用を生み出すような人が出てくれば、より素晴らしいですね。 私は研修制度を、『人づくり』ととらえています。日本は自国の発展を目指すだけではなく、周辺のアジア諸国の人を育てることで、アジア社会全般の底上げを図るべきです。結果的には、日本の発展にも繋がるのですし」。 さらに、あくまで個人的見解だが、と前置きしてこう語る。 「今さらベトナムが、欧米や日本のような工業国家を目指しても、あまり将来性があるとは思えません。この国には豊かな農業資源があります。これを活かした産業、たとえばバイオ産業などの分野で世界へ進出していくことに、この国の活路が見出せるのでは、と感じています。私自身、今の仕事を通じ、そういった分野でのベトナムの発展に寄与できれば、と願ってやみません」。 (2009年6月号/ 2009年6月19日 金曜日 17:06 JST更新) |
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