陶山美喜さん (「デップマイ」マネージャー)
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信頼関係を通じた癒しのお手伝い
本来のエステをベトナムに
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プロフィール
陶山美喜 すやまみき
1974年横浜生まれ。19歳から総合美容エステ業界に入り、光治療の脱毛サロン「自由が丘エピサロン」などに勤務。2001年、日系スパ立ち上げのためにホーチミン市へ赴任。2003年「デップマイ」立ち上げのため再び渡越、以来マネージャーとして勤務。2008年8月よりシネロン社の光治療機「リファームST」を導入し、自ら施術を行いつつ、スタッフの教育を行う日々。
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ここ数年、エステブームのベトナム。ホーチミン市でそんなエステ業界を盛り上げていこうと努める女性がいる。エステティックサロン「デップマイ」のマネージャーである陶山美喜さんに、ベトナムの美容事情を聞いてみた。
「『デップマイ』は2003年にフェイシャル専門サロンとしてスタートしたのですが、当時のベトナムの美容事情にはびっくりさせられることばかり。たとえば、乳液。ショップの店員が『乳液で顔を洗って化粧水をつけてください』と説明するようなご時世だったんですよ」。
化粧水と乳液、どちらを先につけるのかを知らないばかりか、まず石鹸で顔を洗う人さえいなかったとか。そこでまず、素肌美の基本である洗顔の指導から始める必要があった。
「ベトナムでは『エステ』の認識自体が日本と違ったんです。エステは病院ではないので、日本では決して『治る』とは言えないのですが、ベトナムは違う。ニキビやシワが何回で治るかと聞かれるのは当たり前、さらにエステティシャンが『先生』と呼ばれ、『○回で治ります』と断言しないとお客さんが納得しないような状況でした」。
それではエステティシャンの仕事とは、どういうものなのだろうか。
「精神的な悩みや生活態度などを総合的に考慮して、それへのアドバイスや手助けをするのが私たちの仕事です。会社での悩みや食生活、体型コンプレックスなどについて真剣に相談にのり、100%の信頼関係を気づくことが先決。そんな関係ができた上で、お客さんの努力が実って初めてダイエットに成功したり、ニキビが治ったりするんです。そうすると女性はどんどんきれいになっていくんですよ。ファッションにこだわりはじめ、化粧もするようになり、彼氏ができて…。そんな過程を一緒に喜べる瞬間こそ、エステティシャンとしてのやりがいを感じますね」。
ベトナム人の美意識も、最近ではかなり変わってきている。毎日シャンプーで髪を洗い、きれいにお化粧をしてお洒落をする人が増えた。特に世界の新技術がベトナムに入ってくるようになってから、ボトックスや整形などの人気も高まり、世界の美容メーカー大手もベトナムの美容業界に注目しているという。
「デップマイ」では2008年8月からベトナムではまだ新しい、光治療によるシミ・シワ取り、脱毛をはじめた。開始早々、反響は大きく、彼女自らが施術に当たってお客の悩み相談に応えている。
「喜んでくれるお客さんの顔を見ると、逆にその笑顔に支えられて、また頑張ろうと思える。常に新しい技術や体の秘密を勉強して、もっともっとみなさんに良くなってもらいたい。光治療をはじめたのも、お客さんの信頼に応えるための一環なんですよ」。
陶山さんの言う信頼関係を結ぶには、言葉の問題が大切なポイント。現在は日本人客が中心だが、もっと多くのベトナム人にも来てもらえるよう、陶山さんは人の身体の仕組みや技術について、ベトナム人スタッフを指導する毎日だ。
「日本人スタッフが日本人のお客さんの相談にのり、ベトナム人スタッフがベトナム人のお客さんに接客する。それぞれのお客さんから信頼を得て、悩み解消のお手伝いをするのが、本来のエステティックサロンの姿ですから、それをベトナムでも実現させたいんです」。
(2008年9月号 | 2008年9月5日 金曜日 11:20JST更新) |