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「かつて剣道に励んだものの止め、数年後に再び始めることを、この世界では『リバイバル剣道』略して『リバ剣』と呼びます」。 ベトナム人と日本人がともに剣道の腕を磨き合う「ハノイ剣道愛好会」で、現在リーダー格のひとりとしてサークルを引っ張っている淺野さんも、そんな「リバ剣」組だ。彼が剣道の世界に戻ってきたのは仕事でベトナムに赴任して数ヵ月後の2005年のこと。今はすでに帰国してしまった職場の先輩が同サークルで活動していて、誘われたのがきっかけだった。 「ベトナムの前にもシンガポールなどのアジアの国々で駐在員生活を送っていました。今思えば、それらの国でも剣道は盛んだったんです。もっと早くに再開しておけばよかったと後悔しています」。 というのも、それほど現在の生活が充実しているからだという。 同サークルは2002年に発足。現在、日本人6、7人を含む約50人の会員がおり、5人が有段者だ。稽古は週3回。淺野さんは、必ず週に1回は顔を出すようにしている。 ベトナムに限らず、外国人に剣道を教えるときに最も苦労するのは「礼に始まり、礼に終わる」、「打って反省、打たれて感謝」といった、礼儀を重んじる武道の精神を理解してもらうこと。 「でも、あまり礼儀について厳しくしすぎると剣道自体の面白さも伝えられないので、そのバランスに苦慮しています」。 2007年にはサイゴンの剣道愛好会と協力して、バンコクでの剣道アジア大会に、ベトナム初のナショナルチームを出すことに成功した。今後、世界大会に出場できるほどのレベルにもっていくことが淺野さんの夢だそうだ。ベトナム人剣士たちも、国際大会出場という目に見える目標を持てたことで、技術も飛躍的に上達しているとか。 淺野さんの現在の悩みは防具のこと。必要な防具を輸入に頼るしかない現状では、ベトナム人には価格が高すぎるのだ。 「以前にいろいろな方の尽力があって、全日本剣道連盟から中古の防具を20セット送っていただきました。それをみんなで使っていますが、まだまだ足りないのが現状です」。 最近は日本の剣道漫画などの影響から始める人が増えており、ベトナムでも剣道を根付かせる絶好の機会なのだという。今後も防具の確保を働きかけていきたいそうだ。 そんな淺野さんの本職は日系企業のシヴィルエンジニア。シヴィルエンジニアとは、道路や橋、交通網、下水道などの社会基盤の整備にかかわる技術者のことで、現在は橋の建設を担当している。激務で知られるこの業界にあって、夜だけとはいえ週1回の稽古日を確保するのは大変なこと。ときには夜9時に剣道の稽古を終えてから、再び現場に戻ることさえあるそうだ。そこまでして、彼にベトナムでの剣道指導を続けさせるものはいったいなんなのだろうか。 「仕事では得られない、ベトナム人との利害関係のないつきあいができることが大きいですね。そして何より彼らのひたむきさです。剣道に取り組むベトナム人たちは、本当に真摯で素直なんです。そういう人たちに触れると、この国のためにもっと何かをしたい、という気持ちが自然と湧いてきて、仕事にもより熱が入るんです」。 シヴィルエンジニアの淺野さんならではの、仕事に取り組む原動力になっているのかもしれない。 (2008年6月号 | 2008年6月12日 木曜日 10:52 JST更新) |
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