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ホーチミン市にある閑静な住宅街。そのとある1軒では、整然と並べられた碁盤に碁石を打つ音が、今日も軽やかに響いていた。 「1998年から自宅を開放し、囲碁を教えはじめました。ベトナムでは昔から将棋やチェスが盛んですが、当時、囲碁はまだ極少数。手の荒い、掛けごとのひとつでしかありませんでした。そこでゲームとしての本当の囲碁を伝えようと思ったんです」。 小倉さんがベトナムへ初めてやってきたのは1995年のこと。当初は恵まれない子供たちのために学校を建て、一緒に暮らそうと思っていた。 「ですが、申請許認可などの問題も多く、諦めざるを得ませんでした。そこで囲碁なら問題はないだろうと、囲碁教室を開くことにしたんです」。 折りしも1998年は、日越外交関係樹立25周年にあたる年。文化交流のイベントとして、小倉さんは囲碁を紹介。来場者や関係者の注目を集め、それを機に囲碁が広く認知されるようになった。 「以前はチェスと将棋の2種目だけだったベトナムチェス協会に、1998年から囲碁部門が新設され、個人だけでなく、学校などに囲碁クラブができるようにもなりました。今は私の教え子たちが先生として、ハノイやダナンなど、ベトナム全土で指導にあたっています」。 全くのゼロから始めた囲碁の普及活動だったが、小倉さんの努力の甲斐あって、現在ベトナムの囲碁人口は、約3000人にまで成長。また、日本への働きかけにより、1998年、ベトナム人選手が第21回世界アマチュア囲碁選手権に初参加。以後、毎年連続して参加を続け、2003年には、70カ国から強豪が集う同選手権で15位を獲得するなど、華々しい成績も残すようになった。 「ロボコンや数学オリンピックでの活躍を見てもわかるとおり、ベトナム人は数学的思考に優れています。数学に強い人は囲碁も強い。ベトナム人は囲碁の高い資質を持っているんです。たとえばタイの囲碁人口は100万人を超えていると言われていますが、おそらくベトナムは今、アセアン(ASEAN)諸国で最も強い国だと思いますよ」。 とはいえ、生まれた環境も生活習慣も全く違うベトナム人への指導。当然ながら日本と違う面も多いという。 「ベトナム人は、日本人よりも遥かに我が強いという面があります。でも、それもひとつの個性。ルールやマナー、挨拶など、最低限のことは教えますが、それ以上は言いません。まずは好奇心を持ってもらうことが大切。そしてその個性を伸ばすことで、囲碁を心から楽しんでもらえればと思っているんです」。 そんな彼の指導のもと、徐々に広がりを見せてきたベトナムの囲碁。今では彼の噂が口コミで広がり、テレビや新聞など、ベトナムの数多くのメディアでも紹介されるようになった。 「中国や韓国が強国とされる囲碁ですが、ベトナムも世界中から注目を集めています。だから今後はベトナムにプロ棋士の制度を導入したり、アセアン10カ国で囲碁連盟を作ったりできればと、夢は膨らむばかりです。ベトナムから世界へ発信する、国の主義主張を超えた関係作り。碁が、その手段となれば嬉しいですね」。 (2007年9月号 | 2007年9月27日 木曜日 10:30 JST更新) |
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