和田みゆきさん
(ロサ・ブランカ・オーナー)
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美しさの基本とは何か。
ベトナムで本当の美を伝えたい。
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プロフィール
和田みゆき わだみゆき
1964年岐阜県生まれ。18歳の頃からTVや雑誌のモデルとして活躍。その後、フラメンコに魅せられスペインへ渡る。マヨルカ島、マドリードなど、スペインで約7年の生活の後、サイゴンスパを立ち上げるため、2001年10月に渡越。スパマネージャーとしての経験を積み、2006年4月、スキンケアサロン「ロサ・ブランカ」をオープンさせた。
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「ベトナムは気温や湿度が高く、日差しも強い、お肌には過酷な場所なんです。そこで重要になるのは、美しさの基本であるお肌を根本からキレイにすること。そこに注目したのがこのお店なんです」。
スペインのアンダルシア地方の民家を思わせる純白の店内。スペイン語で「白いバラ」を意味するスキンケアサロン「ロサ・ブランカ
rosa blanca」。そこで柔らかな笑みを湛える彼女は、ホーチミン市の人気スパ「サイゴンスパ」のマネージャーとしてその経営を担う傍ら、2006年4月、自らがオーナーとして同店をオープンさせた和田みゆきさんだ。
「在住外国人はもちろんですが、今、ベトナム人の中にも、基礎的なトリートメントに興味を持つ人が増えてきています。そこで、そんな人たちを通して、ベトナムでももっとお肌の手入れの必要性がわかってもらえたら、と思うんです」。
ここ数年、ベトナムでは急速にスパが乱立してきている。だがその大半は旅行者向け。つまり、癒しや自然派を謳い、その雰囲気を売りとしたものが多い。しかし彼女はその中で、トリートメントの根本であるコスメや技術、そして効果に真摯に向き合い、日々の生活の中で恒常的に美しさを保つための「肌のケア」に本格的に取り組もうとしているのだ。そして、そんな彼女のサロンでは、徹底的に効果にこだわり、最新技術を駆使したトリートメントがメニューの大半を占めている。
「ベトナムのスパは、まだ癒しの雰囲気をアピールしたものがほとんど。でもこの店では、トリートメントに機械も使いますし、マッサージひとつにしても、クリームではなく、スクアランオイルにアラビックローズを配合したオリジナルオイルを使うなど、多少料金が高くなっても効果の高い素材を使うようにしています。ナチュラル志向の方は機械を敬遠しがちですが、機械を使うからこそ、少しのミスも許されません。より慎重に、より注意深く。そうした意識と最新の技術が高い効果をもたらしてくれるんです。」
スパとサロンの2店を抱え、多忙な毎日を過ごす和田さん。しかし、同店のオープンから間もないにも関わらず、次いでサイゴンスパも移転リニューアルさせるなど、その積極性は止まるところを知らないようだ。
「今、ベトナムにはエステやスパが増えてきていて、今後もこの状況は続くと思います。ですが、いずれは本物だけが残る時が来るはず。だから、その時に残れるように、今、自分ができること、したいことをしていこうと思うんです」。
現在、ベトナムの魅力の1つとして人気を博し、過渡期にある美容業界。しかし、その中で良いものを提供し続けることは容易ではない。彼女の語り口は終始穏やかだが、その言葉の端々には、美と真剣に向き合おうとする強い意思が見え隠れする。何ものとも交わらないが故の潔さを持つ純白。その色は、店のイメージだけでなく、彼女自身にもまた、どこか重なって見えた。
(2006年9月号/2006年9月27日 水曜日 10:19JST更新) |