MOTOKO UDAさん (アーティスト)
ここに来たのは偶然? 運命?
この地に集った芸術家達と
創作活動を続けていきたい
プロフィール
うだもとこ。1976年東京生まれ。アメリカ・カリフォルニア州のMills College卒業。2000〜2002年、ホーチミン市でギャラリー・モコを主宰する。画家としては、アメリカ、日本、ベトナムでの展覧会に作品を出品する他、個展も開催している。10月2日には東京十字屋ホールでトークショー、10月8〜12日は銀座で個展を開催する。詳細は本人まで直接メールで。
mtk628@hotmail.com
「ベトナムの絵だけ、他の国とちょっと違う。」
ホーチミン市でアーティストとして活動しているMOTOKO(モトコ)さん。彼女がここに来ることは、初めてベトナムの現代絵画に触れたこの時から、運命付けられていたのかもしれない。「何が違っているのか、言葉で説明するのは難しいんだけど、アジア諸国の絵の中で、ベトナムだけ違って見えたの。」
当時、モトコさんは、アメリカの大学で美術を専攻する大学生。授業の1つとして選択したコースの中で、80〜90年代のベトナムコンテンポラリーアートに出会ったのだ。興味を持ったモトコさん、大学を卒業した2年後の2000年には、画廊を開くためホーチミン市にやって来る。目指したのは、お土産物屋ではない本格的な画廊。当時ホーチミン市では希少な存在だった。来越すると、当地で活動している若手の作品を集め始めた。モトコさんも絵を描く人間。だから、どの画家も心を開いてくれ、喜んで画廊に絵を出してくれた。しかし、美術界自体が未成熟なベトナム。仕事をする上で戸惑ったことも少なくない。
「作品の写真をお願いしたら、子供のスナップ写真みたいなのを持って来た人もいます。履歴書をお願いすると、1枚ペラの紙切れをポケットから取り出して『はい、これ』なんてことも。」そんな世間知らずなところはあったが、決して彼らの作品の芸術性が低かったわけではない。「画家としての腕は尊敬していました。」そんな彼らのため、モトコさんは協力を惜しまなかった。「作品を効果的に見せるために、画廊のここの壁を壊して欲しい」など難題を頼まれても、できる限り実現するようにしていたそうだ。「だから採算面では大変でしたけど(笑)。」しかし2002年の夏、彼女は思い切って画廊を閉める。それは自分自身の作品作りのためだった。
「ギャラリーを運営するのは楽しかったわ。でも自分の創作活動をする時間がなかったのね。」その後2年かけて約30点の作品を描きあげ、7月にはホーチミン市で個展を開催。10月には日本で新作展とトークショーを開く。「ベトナムだから創作ができないということはありません。逆に利点もあるくらい」というモトコさん。実際、ここに集った色んな国のアーティストと様々なプロジェクトを進めている。その中心となるのは、画廊時代からの画家達との友情。当時からお互いの家を気軽に訪ねあったりした交友は、途絶えることなく続いている。
「今は私も創る側にいるのが嬉しい。」
こう言って微笑むと、彼女は壁に立てかけた大きな作品に向き直った。
(2004年10月22日 8:43更新) |