新居秀元さん(プロサッカー選手)
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今はまだ2部リーグだけど
このチームで1部を目指します |
プロフィール
にいひでもと。1972年、岐阜県生まれ。
大学卒業後、ヴィッセル神戸に入団。23歳の時にフランスへ渡り、パリを拠点とするRacing Club De Parisを皮切りに、多数のチームで7年間活躍。昨年の12月ベトナムへ移り、現在2部リーグのチームBuu Dien TP.に在籍。MFとしてグラウンドを駆ける。 |
昨年末に開催されたSea Gamesでベトナムが2位となったサッカー。老若男女、誰もがサッカーに夢中になるこの国だけに、街中が大興奮の渦に巻き込まれたのは記憶に新しい。そんなベトナムサッカー界に、プロ選手として活躍している一人の日本人がいる。それがこの新居秀元さんだ。「フランスにいた時に知り合ったベトナム人から、今のチームを紹介されたんです。丁度フランスでのプレーに区切りをつけようかと思っていたこともあって、とりあえず練習に参加してみることにしました。」
日本と同じく、ベトナムのプロサッカーリーグ(Vリーグ) は2つの部に分れている。各部それぞれ12チーム。それが各部ごとに2回づつの総当たり戦で約半年、熱い戦いを繰り広げる。とはいえ、ベトナムプロサッカーの外国人選手枠は1チーム4人。その狭き門を、彼は練習で実力を見せつけて見事突破。「ぜひ来てほしい」との誘いを受け、ベトナムの地を踏むこととなった。しかし、そうして訪れたベトナムのサッカーは、フランスでの経験が長い彼にとって、全く違うものだった。
「選手のモチベーション、自己管理からして違うんですよ。試合があるから摂生する、ということが少ない。お酒もよく飲むし、スケジュール管理も曖昧。一日のスケジュールにしても当日の朝にならないと分からないような状況なんです。もちろん気候の問題もあります。とにかく暑い。グラウンドの芝もヨーロッパとは種類が違うので、慣れるのに本当に時間がかかりました。」
選手の意識や環境が異なれば、当然技術にまでその違いは及ぶもの。「正直なところ、日本やヨーロッパのサッカーと比べると、ベトナムはまだまだ。試合中でもチームのメンバーの動きが予想と全く違っていたり、それによって自分のしたいプレーができなかったり。こうすればもっといいのに、とジレンマを感じる時も沢山あります。」
しかし、渡越から約2ヶ月。「言葉の問題もあって、まだ馴染めていないところもある。今のチームは本当はもっと強い。チームの力を出し切れていないんです」と、そうしたギャップに苦しみながらも、ベトナムでのサッカーを認め出してきた自分の姿も感じているという。「日本、ヨーロッパを経験してきて、自分のサッカー人生は、この東南アジアが最後の地だと思っています。だからもっと上を目指したいし、そのためにも、僕もベトナムに馴染まなくちゃいけない。みんな実力はあるんですよ。日本人の皆さんにも、もっと応援してほしいですね。最初は戸惑いもありましたが、絶対にこのチームで1部に上がってやる、と今は思っています。」
(ベトナムスケッチ2004年3月号) |