ベトナム全国の通りには、歴史上の出来事や重要人物の名前がつけられています。よく耳にする通り名の意味や由来について、あなたはどれだけ知っていますか？

第6回：チャンフンダオ通り
〜モンゴル帝国からベトナムを守った大将軍〜

　チャン・フン・ダオ（Tran Hung Dao/陳興道、1228〜1330。幼名チャン・クオック・トゥアン/Tran Quoc Tuan）は、チャン朝の皇帝の甥として生まれた。1285年、モンゴル帝国の第5代皇帝フビライ・ハーン（Kubilai Khan）の軍が大越（ダイヴィエット/Dai Viet/現在のベトナム）の首都タインロン（Thanh Long/成龍、現在のハノイ）を占領。将軍となったチャン・フン・ダオは、民衆を導いて水辺で反撃に出た末に撃退に成功した。だが1287年、モンゴル帝国は再び50万人の大軍でタインロンを目指した。激しい戦いの後、チャン・フン・ダオはバクダン（Bach Dang）川に敵をおびき寄せることに成功。これ以前に彼は、鉄の先端を持った杭を川の中に仕掛けていたため、引き潮の影響を受けた船は座礁し、損傷。ベトナム側は400艘に上るモンゴルの船を焼き払い、60年間に渡るモンゴル帝国のベトナム侵略に終止符を打った。チャン・フン・ダオは生涯にわたる軍事的功績を認められ、死後「フン・ダオ・大王/Hung Dao Dai Vuong」の称号を与えられた。

（2009年10月号/ 2010年1月28日 木曜日 20:43 更新）