グエン・フエ(Nguyen Hue/阮恵、1753〜1792)が生まれた18世紀当時、ベトナムは後レ(黎)朝が治めていたものの、北部はチン(Trinh/鄭)氏、南部(現在の中部)をグエン(Nguyen/阮)氏が支配していた。グエン氏の圧制に耐えかね、タイソン(Tay Son/西山)の3兄弟、グエン・ニャック(Nguyen Nhac/阮岳)、グエン・フエ、グエン・ルー(Nguyen Lu/阮呂)が蜂起(西山党の乱)。
3兄弟はまず阮氏の首都フースアン(Phu Xuan/富春、現在のフエ/Hue)を落とし、1777年には南部で阮氏を滅ぼし、今度は北上してチン氏を討ち、西山朝を成立。初代皇帝の座に着いた兄、グエン・ニャックとの不和から、自らをクアンチュン(Quang Trung/光中)皇帝と称したグエン・フエは、阮氏の生き残り、グエン・フック・アイン(Nguyen Phuc Anh/阮福映)を討つため南部へ攻めようとするが、直前に急死した。
その後、国外へ逃亡したグエン・フック・アインはフランスの援助を受けて西山朝を滅ぼし、グエン朝を興して初代皇帝ザーロン(Gia Long)となったのである。
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