<ベトナム芸能界珍道中>
愉快・痛快・ウキウキ★SAKAI
第11話:売れないCD、路上の喧嘩、そして運命の出会い
☆前回までのあらすじ☆
バンド崩壊、祖父の危篤という危機を迎えたSAKAI。だが、その窮地で頼りになったのは、大嫌いだったWADAだった。ユニット「シクロ/Xych-lo」を結成、念願だった師匠ゴック・ソン(Ngoc Son)の来日、さらにCD発売の依頼も舞い込んできて…。
アジアの歌手が一堂に日本に集まり、盛大に行なわれた、「東京アジアミュージックマーケット」。
そんな中、ゴック・ソンのコンサートは異常なくらいの盛り上がりを見せていた。なにしろ、日本全国からゴック・ソン目当てのベトナム人ファンが大集結、会場は超満員。中には憧れの本人に会えて、泣き出す人も。
「やっぱり、師匠はスゴイんだな。」
改めて師匠ゴック・ソンの凄さを感じさせられた。
コンサートが終わり、一息ついた時、
「CDを発売しないか」
と声をかけてきた、怪しいオジサンのことを思い出した。なんとなく気になったので、もらった名刺を取り出しネットで調べてみた。オジサンはアジア専門のレコード会社「BMI」の社長だった。
そこで、早く日本でCDを発売したいという思いから、怪しかろうが何だろうが、その会社へ話を聞きに行くことにした。
オジサンは、ゴック・ソンと「シクロ」のCDを作成し、日本で売りたいという。こちらにお金を払えというわけでもなく、騙されることもなさそうだったので、早速契約。
発売予定のCDはゴック・ソン4曲、「シクロ」5曲入りのアルバム「ファーストインプレッション/First Impression」。大手CDショップには並ぶものの、輸入盤扱いでの販売になるという。
ゴック・ソンの曲はベトナムから送ってもらうため、レコーディングの必要はないが、「シクロ」の曲は改めて収録しなくてはならない。曲自体はストックがあったので、すぐに歌入れのレコーディングを開始する運びとなった。
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(2008年5月号 | 2008年5月19日 月曜日 10:32 JST更新) |