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プロダクションのオーディションに落ちてから数日間、俺はずっと部屋に閉じこもっていた。本当に情けなくて悔しくて、とても憂鬱だった。 WADAがいなくなり、なんとなく静まりかえった頃、プロデューサーが部屋へやって来た。もう心の準備は出来ていた。荷物もまとめた。あとは日本のみんなへの言い訳と、ベトナム土産を買うくらいだ。 「どうもありがとうございました。」 プロデューサーに礼を言った。 ところが彼いわく、「ベトナムには『フン・タイン(Phuong Thanh)』と『ゴック・ソン(Ngoc Son)』という有名な歌手がいる。どちらにも弟子入りの話はつけられる。どうする?」 未来に一筋の光が見えた。 「ぜひ、やらせてください!!」 「ただしオーディションに落ちたら、すぐに帰国してもらうぞ。」 俺はすぐさま、フン・タインとゴック・ソンのCDやビデオを買い集めた。 フン・タインは国内トップクラスの女性歌手で、ハスキーボイスと力強いステージが売りだという。背も低くて俺の好みだし、彼女の弟子になってみたいと思った。 一応、ゴック・ソンも買っちゃったから、ついでに。そんな軽い気持ちで見た俺は驚愕した。 「何だ? こいつは?!」 会場の観客が熱狂し、総立ちで声援を送っている。ベトナム人は、コンサートを静かに見るんじゃなかったのか? こんな凄い歌手がベトナムにいたとは。 もう頭の中はステージ上を激しく動き回るマッチョマン、ゴック・ソンの姿だらけ。絶対に彼の弟子になって、技を盗んで、ベトナム人そして世界中の人間を熱狂させたい!! 後から知ったことだが、彼はアメリカやドイツ、オーストラリアでも活躍する歌手で、アメリカの『TIME』誌に「ベトナムのエルビス・プレスリー」と称賛される超大物歌手だった。 (2007年1月号/2007年1月17日 水曜日 10:31JST更新) |
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