ベトナム人彼女の偏食を治したい
　こんにちは29屋さん。学生から現地採用になってベトナム生活も５年目。いよいよ彼女（27歳♀）と、清く正しい交際の果てに婚約することになりました。ちょっとヤキモチ焼きのところはありますが、明るくやさしく可愛らしい彼女。先日もダムセン公園で･･･（以下、数十行にわたってノロケが続くので大幅カット！　ごちそう様でした）。

　それはさておき、困っているのが食事のときの彼女の好き嫌いの多さ。自分で作る料理も外食のときも、野菜や豆類など体に良さそうなものを食べず、肉とか塩魚とかお菓子などの高カロリーな献立ばかりを好むのです。健康に悪いよと言っても、聞く耳を持たず、自分の好きなものばっかり食べてます。ならば低カロリーな日本食を食べさせようと一緒に日本食レストランにいっても、ちょびちょび味見するばかりで、家に帰ってから、私に隠れて即席ラーメンを食べているありさまです。このままでは結婚後の彼女の美容と健康、そして家族の食生活が不安です。どうすればよいものでしょうか？

PN：ココ山岡士郎（28歳♂）

作る人には工夫と愛情、食べる人には空腹と感謝が必要。
　人間は、子供時代に日常的に食べていた味覚に終生支配されると言われています。とりわけ、ここベトナムの人たちは食事に関しては保守的で、たとえばの話、未体験の料理や食材があった時に、「食べたことないから食べてみよう」と考えるのが日本人。「食べたことないからやめておこう」と考えるのが大多数のベトナム人であるといってもいいでしょう。それは単にコストの問題ではなく、食事をひとつのイベントとして捉えた時に、「こないだ○○料理を食べたよ。まあまあだね」と言える既成事実＝話のタネを作りに行くといった感覚があるかないか、といった話でもあります。伏字の中身がフランスかベトナムかモロッコかニカラグアかといった違いはあれど、この場合は食欲よりも知識欲が先に立っているといえます。

　ただ貴方の彼女の場合、心配なのは栄養学的な見地。つまり彼女の高カロリーな食生活によって、美容と健康が損なわれる事態を将来おこさないためにビタミンと繊維質を多く含んだ低カロリーな食生活にシフトしたい。平たく言うとこのままじゃ不健康なデブになるから、たまには野菜とかも食え、というわけですね。ただし過激なダイエットが体に悪かったりするように、間違った情報に踊らされて極端な方向に走るのは本末転倒。「健康のためなら命だって惜しくはない」とばかりに、絶食したり、乾布摩擦をしたり、リンゴだけを食べたりするのは長続きしない上に、夫婦仲が悪くなるのは必定。かなりの確立で彼女は貴方に隠れてつまみ食いするでしょうし。

　「医食同源」と言いますが、本当に体に良いものを美味しく食べようと思うのであれば、貴方も料理の腕を磨くなり、正しい知識を仕入れるなりして、彼女と一緒に食卓を盛り上げる努力が必要です。文句だけ言っていたら、余計に味付けが塩辛くなる恐れがあります。穀物、野菜、肉、果物などをバランスよく摂って、足りなさそうな部分を微妙に錠剤などで補うこと。そして一日少しでも、運動してお腹をすかせること。長い時間をかけてでも、家庭の味を貴方と彼女の二人で、作り上げて行ってください。でないと、機内食みたいに別々のお膳を食べることになりますぞ。

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（ベトナムスケッチ2003年8月号）