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「父、帰る!?ベトナムで愛人に捨てられた父親が出戻りを希望しているのですが…」 |
29屋さん、聞いてください。私は実母と妻と2歳になる息子と共に日本で暮らしているのですが、困った悩みを抱えています。私の父は数年前にベトナムで単身赴任していた当時、現地の女性と愛人関係にありました。その時は、父は母に謝ったのですが、問題はその後。任期を満了して帰国後に会社を退職した父は、ふたたびベトナムに渡って、その愛人をパートナーに事業を起こしたのです。結局、その事業は上手くいかず、手持ちの資金がなくなった段階で会社をのっとられ、彼女にも捨てられてしまったようなのですが、最近、父は私に宛てて「やっと家族のありがたさに気がついた。日本に戻って孫と一緒に暮らしたい」などとメールをよこしてきます。あまりにも身勝手な気がしますし、正直、今までの言動から見ても信用できません。どうすればいいのでしょうか?
PN:キャプテンD/O(31歳♂ 日本在住)
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「勝負に負けたのはお父上の勝手。貴男は貴男の心の声に従うべきです」 |
すべての男には「男スイッチ」なるものがあり、1度それが動き出すと、周りのすべてが目に入らないまま突き進み、今まで積み上げたすべてを台無しにしてしまいます。
貴男のお父上が、以前どのような立場でベトナムで働いていらしたのかはわかりません。しかし少なくとも、駐在員を派遣できるようなきちんとした基盤を持つ会社のスタッフとして行くのと、ゼロからのスタートで何のバックもなく単身乗り込んで行くのとでは、天と地との開きがあり、決して楽な道ではないことを、お父上も頭ではご承知のはずだったと思います。しかし、「人生最後の大勝負」という尋常ではないテンションのロマンに突き動かされてしまったのでしょう。ましてや、「老いらくの恋」というスパイスまで加わったのでは、この見事な「合わせ技1本」の誘惑に逆らうことは難しかったと推察されます。
しかし、独立起業なんて、どこの国であろうと、ただでさえ上手くいくかどうかが「丁半ばくち」だというのに、よりにもよってなぜお父上が、愛人などという文字通り急所を握られている相手を名義上の社長=「べトナムの法律上、社内の絶対権力者」に選んだのか本当に理解に苦しむところ。ただでさえ、男女関係にある2人が一緒に働く職場というのは、ゆうべの喧嘩がそのまま仕事にまで持ち越されて業務が滞るなど、とかく一般の会社組織においては有り得ない種類のトラブルが多いものだというのに、世界で名高いカカア天下のベトナム人女性相手では足元を見透かされて当然というものです。
ましてや、あちらさんのモチベーションが、ズバリ「お金」であるか、もしくは「豊かな経済力をバックグラウンドにしたオモシロおかしい豊かな生活」であった場合、それがなくなったときの手のひら返しは半端なレベルではありません。物欲を満たす快楽主義の観点のみならず、「昔はあんなに気前がよかったのに、急にケチになった=愛情が冷めた」と思われたが最後、情と合理的根拠のあるなしにかかわらず、「もらえるものを、もらえるうちに、もらえるだけ」という「もらう三原則」を発動。そのための手段として「脅す」「なだめる」「泣き落とす」「とぼける」などなど、ありとあらゆる大技・荒技・反則技を繰り出されて、あっという間に尻の毛まで抜かれてしまいます。お気の毒ですが、「よくあるはなし」のひとつとしか言えません。
とはいえ、これはお父上ひとりの事情。結局、貴男やお母上は、自分たちが心に負った「傷」と、お父上に対して心の中で抱いてしまった「毒」とに、どう向き合っていくかを決めて、世間体や諸事情と天秤にかけた上で、そのとおりにすればいいのではないでしょうか。1度失ってしまった愛や信頼など、そう簡単によみがえるものではありません。無理に気持ちを押し殺したところで、軽蔑や憎悪や罪悪感の上に立脚した家族生活ならば、そんなものはないほうがマシです。お子さんの教育にも、確実によろしくない。ならば、いつになるかはわからなくとも、それぞれが葛藤と試練を乗り越えて、本心から和解の境地に至る日が来ることを、希望と共に待ち望むべきではないでしょうか? このスケールが小さい割にはリアルで切ない地獄を、貴男がガッツで克服できるよう、心よりお祈りいたします。
【今月のまとめ】
「私は、チャンスに対する責任を感じる。責任の大きさは、チャンスの大きさに比例する」 by トーマス・ウィルソン
オフィスジパンング・今日の弁当
29屋さんの日記、他ベトナムの宅配弁当店オフィスジパングの弁当ニュースなど。
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(2009年10月号/ 2010年1月30日 土曜日 11:39 JST更新) |