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「本気でやる気があるのかな…。 年下の越僑彼氏が仕事もせずにぶらぶらしてるのです」 |
29屋さん、こんにちは。私には今、つきあいはじめて2年目になる恋人がいるのですが、最近不満に思うことがあります。彼はオーストラリア越僑で、私よりも5歳年下ですが、現在無職。両親やベトナムの親戚筋はそこそこの資産家で、生活には困っていないのですが、本人に働く気がないというか、正業につくつもりがないようなのです。一応本人としては、いろいろとビジネスプランがあるらしく、「移動クレープ販売のチェーン店をベトナムでやりたい」とか、「アーティストの友人たちと一緒に、バーやクラブをプロデュースしてみたい」などと言います。しかし、その夢に向けて具体的に動いている気配もなく、私がそれとなくたしなめても、あまり気にしていない様子。このままでは将来設計も立てられないし、どうしたらいいでしょうか?
PN:マネーの猫(34歳♀ ベトナム在住5年目)
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「問題は彼氏のライフスタイルの如何ではなく、貴女自身の焦りです」 |
昨年亡くなったアメリカの大学教授で、ランドルフ・フレデリック・パウシュ(Randolph Frederick Pausch)という人がいます。バーチャルリアリティの第1人者であり、3人の幼い子供たちの父親でもあった彼が、すい臓に転移した末期がんを告知されたのは46歳のときでした。
そこで彼は、残されたわずかな時間とエネルギーを注ぎ込み、自らの職場であったカーネギーメロン(Carnegie Mellon)大学において、人生最後の講義を行いました。集まった約400人の聴衆に対してだけでなく、将来成長して、後にこの講義の記録を見るであろう子供たちに向けて。「夢を本当に実現するためには、どうすればいいのか?」というテーマで語られた、熱く、やさしく、希望に満ち溢れたメッセージの数々は、本やDVDとなって出版され、ベストセラーとなったので、ご存知の方も多いかと思います。
この「最後の授業」の中で、何度も使われている言葉が「レンガの壁」。これは「夢を実現する過程において出現するさまざまな障害」を象徴したキーワードなのですが、これについてパウシュ教授は、こう語っています。「レンガの壁がそこにあるのには、理由があります。『自分がどれだけその夢の実現を強く望んでいるのか』を証明するためなのです」。
貴女の彼氏さんの場合、「レンガの壁」をどうこうする以前の段階で、すでにチャレンジから降りてしまっているわけですが、逆説的に見ると「彼氏さんがどれだけその夢の実現を『どうでもいい』と考えているか」という事実が、既に証明されているとも言えます。生活の糧を得るために「とにかく賃金がもらえる仕事につく」のか。それとも、生活の余裕を土台にして「自己実現、または社会参画のために働く」のか。具体的に言えば、「彼氏さんが親戚から勘当されて経済的援助が打ち切られる」とか、「よっぽどのインスピレーションや儲け話を得て、突然やる気が燃え上がる」とか。どちらの動機にせよ、彼氏さん本人が切迫感を強く感じながら、ガッツを燃やさない限りは、貴女がいくら急き立てたところで無意味というものです。もっと簡単に言えば「大きなお世話」といったところではないかと思います
。
そもそもの話、彼氏さんは、「動かないこと」によって何か困ることがあるのでしょうか? 外国人、ベトナム人を問わず、自称起業家が鵜の目鷹の目で「ネギを背負ったカモ」を探している当地のビジネス社会において、確たる勝算もやる気もないのに、「資金と中途半端な事業計画」だけが手持ちのカードだというのでは、あまりにも心もとないものです。もちろん、それが「怠け癖をカモフラージュするための言い訳」だとしても、お金をどぶに捨てて親戚一同から怒られるよりは、彼氏さんにとって、はるかにマシなはずです。
結局、彼氏さんがブラブラしていることによって生じる不利益というものが「世間体」だの「将来設計」だのといった類のものであれば、それはむしろ、貴女自身にとってのみ都合が悪い事実で、彼氏さんには無関係です。今の2人は、あくまで「お試し期間」なのですから、結論を急いだり、強制したりする必要はありません。貴女にとっての「レンガの壁の向こう側」とは、本当に「彼氏さんとの将来」なのか。時間と情熱をかけて、ゆっくりと確かめてみてください。ガッツです。
【今月のまとめ】
「仕事ほど私を魅惑するものはない。私は何時間ものあいだ、すわったままでそれを見ていることができる」by ジェローム・K・ジェローム
オフィスジパンング・今日の弁当
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(2009年7月号/ 2010年1月30日 土曜日 11:39 JST更新) |