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「これはファッションなのに…(泣)。 ベトナム人男子からお誘いがかからないのです」 |
29屋さん、こんにちは。ベトナムへ来る以前から「ベトナムの男性は積極的だ」、「日本人女性というだけで、しつこくナンパされる」などという話を耳にしていた私は、ベトナム人男性に対して警戒心を持って生活を始めました。ところが、2年近く経った現在まで、ベトナム人男性から誘われたことが全くありません。別に「今すぐ彼氏が欲しい」というわけではないのですが、正直悔しい気もしてくる今日この頃。下宿先の大家さんの娘に聞いてみたところ、「いつもボロボロの服を着ているからじゃない?」とのこと。確かに私は、普段ヴィンテージの古着系の服を着ていることが多いのですが、それがベトナム人の目には貧乏くさく見えるのだとか。とはいえ、長年気に入ってるスタイルを捨てて、いかにも女の子っぽい格好をするのも気が進まないのです。どうすればいいのでしょうか?
PN:マドモアゼル原宿(28歳♀ ベトナム在住1年9ヶ月目)
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「『汚れてる』と『汚してる』の違いがわかるセンスは、万国共通ではなさそうですよ」 |
『ベトナム怪人紀行』などの著書で有名なゲッツ板谷氏が、お気に入りのバスケ風ファッションでベトナムの路上を歩いていたところ、「道行く人から指をさされてゲラゲラ笑われた」というエピソードがあるとか。それもそのはずで、ベトナム人からすれば、稼ぎのある大人がタンクトップやショートパンツで外出するのは非常に奇異に映るらしく、「かわいそうに。布地を買うお金もないのか」としか見てもらえないのです。ましてや、それが「ボロボロの古着」や「意図的に開けた穴だらけのシャツやズボン」なんかであれば、それはもう、そこらに落ちている葉っぱとか新聞紙を拾い集めて身にまとっているのと同じ扱いを受けるであろうことは、想像に難くありません。
つまり、釣りにたとえると、ベトナム人男性から観た貴女の「ターゲットとしての価値」というものは、マダイやカジキマグロのような「大物」でもないし、アジやダボハゼのような「初心者でもバンバン釣れる雑魚」でさえもないのです。言ってみれば「これ、食えるのか?」的なカブトガニの仲間であることをまず自覚した上で、「それでもわが道を行くのか否か」を考えたほうがよろしいかと思われます。
ちなみに日本では天然記念物として保護の対象になっているカブトガニですが、ベトナムでは海辺の町の市場で、たまに売っていることがあります。直径50cmぐらいの平たいヘルメットのような殻に、細長い針のような尻尾がついており、ひっくり返すと中央のちんまりした箇所にわしゃわしゃとした細かい脚がうごめいていて、まるでエイリアンそっくり。見るからにマズそうなのですが、一応食用で、糸くずみたいな肉をチマチマとこそげ落として、茎レンコンなどと一緒に和え物にします。しかし「出来損ないのカニカマボコ」程度の味しかせず、メスが持っている卵だって、安物のシシャモにさえ遠く及ばないレベルなので、まったく魅力のない食材です。
話を戻しますが、ベトナム人男性を寄せ付けない原因となっている、貴女にとっての「カブトガニの殻」の正体とは、「貴女のファッションそのもの」だけではなく、「TPOを読まずに、いつでもどこでも自分のスタイルを押し通そうとする、頑固で協調性のない心」だと思います。本当に自分のセンスに自信があるのなら、どんな装いの中にでも「さらりとした自己主張」を調和させることができるはずだからです。
そんな貴女が、一時的に本心を押し殺して「普通のカニ」のふりをし、釣り人をだますことが出来たとしても、正体がばれた瞬間にポイ捨てされる可能性は低くありません。他に獲物がとれない不漁の時期であれば、「ちっ、カブトガニでもしょうがねぇか」と非常食的に食べてもらえることがあるかもしれませんが、ここは美人の産地として名高いベトナムです。外来種であるというモノ珍しさは、売りのひとつにはなってもセールスの決定打にはなりえないので、「世界中で大人気の日本人女性が来ましたよ」的な「上から目線の自意識」でベトナム人男性に接しようとするのは、その場の空気と相手のリアクションをよく見てからにしたほうがよろしいのではないでしょうか。
とはいえ、カモメはカモメ。カブトガニはカブトガニ。無理に妥協しないで、世界のどこかにいるマニアな愛好家とめぐりあう幸運に賭けるのも、ひとつの選択肢です。ガッツでがんばってみてください。
【今月のまとめ】
「なるほど、釣られて欲しそうな顔してるね。…でも、タイプじゃないんだけど」
by ウラタロス・イマジン@『仮面ライダー電王』
オフィスジパンング・今日の弁当
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(2009年6月号/2009年6月19日 金曜日 17:06 JST更新) |