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「あれ、この人誰だっけ? あまり面識のない人からの誘いが多すぎて、気が休まる暇がない」
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29屋さん、はじめまして。私は仕事上、在越日系企業にお勤めの方々や、日本から旅行や視察でいらっしゃるお客様にお会いしたり、お話を伺ったりすることが多いのですが、公私の線引きで悩んでいます。プライベートでゴハンを食べに行ったり街を歩いたりしているとき、かなりの確率でお客様や知り合いに遇ってしまうのはしかたがありません。しかし、仕事上でもあいさつ程度の面識なのに、「おおぉ〜、今、ヒマ? 一緒にメシ食おうよ!」と、とても親しげに誘ってくださる方も多く、正直困ってしまいます。自意識過剰というわけではないのですが、平日の夜中に突然、電話やメッセージで、あまり面識のない人たちの飲み会に誘われたりするのも度々。最初は嬉しかったのですが、何だか疲れてしまいました。角が立たないようにお断りするには、いったいどうしたらいいのでしょうか?
PN:ベルサイユのばら肉(27歳♀ 営業職 ベトナム在住1年8ヶ月)
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「『何かあったら、ぜひ誘ってくださいね〜』の『何か』って何なんでしょうね…?」
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京都人の性格を語るときには欠かせない定番ジョークになっている都市伝説で、「ぶぶづけ(=おちゃづけ)くうていきなはれ」というものがあります。知らない方のために説明すると、「京都で人の家を訪ねてこのセリフを言われたら『そろそろ帰れ』というメッセージであり、言われたほうは気を利かせてさっさと退出するべきである」という話。
この噂の真偽はともかく、社交辞令というものには、言う側と言われる側の間に、同じ価値観にもとづいた「暗黙の了解」が成立している必要があり、使う相手を間違えると大変気まずいことになってしまいます。空気を読まずに「そうですかぁ。じゃあ、ゴチになります!」と居座ってしまうと、「あいつ、ほんまに、ぶぶづけくうていきよった(呆)」と末代まで陰口を叩かれるかもしれません。つまり、その土地のコミュニティ独特の間合いを見切ることができるかどうかが、閉鎖社会で生き残るためのポイントであると言えます。
それは、京都ほどの歴史もなければ、日本で言われているほど実際はキャパシティが大きくもないベトナムの日本人社会においても同じこと。事実、娯楽に乏しい当地において「妙齢の独身日本人女性と知り合って仲良くなる」というミッションに成功することは、20〜60代の男子にとって敵の総大将の首を討ち取ったのに等しい大金星であるといっても過言ではありません。
よって貴女が何気なく放った「何かあったら、ぜひ誘ってくださいね〜」という社交辞令が、先方の都合のいいように拡大解釈&適用される可能性は非常に高い。それがまだ「若い子にメシくわせてやるかな」程度の面倒見のよさから出たものであればまだしも、大なり小なりの下心が動機になってロックオンされた場合、その執拗さは蛇の如しです。「仕事にかこつけて呼び出しちゃうぜ」ぐらいの職権濫用はやりかねないし、何よりもそのような「キャバクラの同伴出勤かアフター」的な扱いを日常的に受け続けなければいけないほど貴女の給料は高くないと思いますので、まずは相手の本音を見切ることが肝要です。
とはいえ、石を投げれば知り合いに当たるような狭い世間において「困ったときの友達頼み」という「メリット」だけを享受しておきながら、その裏返しでもある「彼らが困ったとき(=貴女に来て欲しいとき)には自分が頼られる」という「デメリット」を完全に拒否することなどできるはずがありません。「ギブ」をしたくないのであれば、「テイク」もするべきではないのですが、そんな自給自足型の仕事と私生活をベトナムで送ることのできる人は、そんなに多くはないはず。で、あれば、貴女の取るべき道はひとつで、「それも仕事のうちと割り切る。ただし安売りはしないこと」だと思います。
自分の心を裏切るほどの媚や追従は、自信のなさから沸いて出てくるもの。貴女が自身の身の丈に合わせた仕事をし、プライベートにおいても本心から信頼と尊敬を寄せられる友人を作ることができれば、それが気構えをつくり、生半可な下心では近寄れないような「オーラ」になるでしょう。そうなれば、新しい出会いがあったとき、思わせぶりな社交辞令などを使わなくとも、きっと公私共に充実した対人関係が築けるはず。むやみに人を毛嫌いする必要はありませんが、自分の気位とプライベートはガッツで死守してみてください。
【今月のまとめ】
「二度と会いたくない男には、こう言いなさい。『愛してます。結婚してください。子供が欲しいのです』男は車を急発進させて逃げていきますよ」by リタ・ルドナー
オフィスジパンング・今日の弁当
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(2009年4月号/2009年5月20日 水曜日 15:46 JST更新) |