|
|
「遠く離れてしまえば、愛は終わるのか?
まだベトナムに居たい私に、恋人が帰国希望 !」
|
こんにちは、29屋さん。私にはベトナムで出会い、付き合って3年のアメリカ人の恋人がいます。先日、彼の労働契約が終わり、「アメリカに戻ろうと思う。よかったら一緒に来て欲しい」と言われました。彼の故郷は大都市郊外にある静かな町で、私も1度里帰りに付き合ったことがあるのですが、彼の両親や友人たちも皆いい人でした。彼を好きだし、将来は結婚してもいいと思います。でも正直、「今すぐ」と言われても困ってしまうのです。今のベトナムでの仕事を気に入っているし、ようやく慣れた生活基盤を放り出してまで行くことにためらいがあるのです。逆に彼に「またベトナムで仕事見つけたらどう?」と聞いてみたのですが、「ベトナムは嫌いじゃないけど、もう十分だ」とのこと。アメリカとベトナムで遠距離恋愛を続ける自信もありませんし、どうすればいいでしょうか?
PN:スピーディー・ワンダー(31歳♀ 服飾・雑貨デザイナー)
|
|
「貴女の心を動かすガソリンがないのなら、無理に出発する必要はありません」 |
まず、貴女がベトナムに初めて来るのを決意した時のことを思い出してみてください。駐在員として会社命令で赴任してきたのならば別ですが、縁もゆかりもない土地でゼロからの出発をしてみようと思いたったのには、それなりの覚悟が必要だったはず。そのきっかけになったものが仕事においてなのか、人間関係で何かあったか。消極的な理由からなのか、発展的な野望を夢見てのことかはともかく、日本にいて何か満たされない思いがあったからこそ心機一転、新天地を求めて来たのではなかったでしょうか?
若かったからこそ怖いもの知らず&死に物狂いで居場所を作ることができた部分もありますし、はたして今の貴女に、もう1度それができるガッツが残っているかどうか、「心の飢え」と「未来への希望」の残量を確認してみてください。それらが十分でないなら、残るエネルギーは「愛」しかありません。しかし、すでにひと通りの恋愛をなさったであろう貴女の分別からすれば「彼こそが運命の人! これを逃したら一生結婚なんてできない!!」ぐらいの切迫した危機感がないと、とてもじゃないけれど、今それなりに楽しく暮らしている生活圏の引力を振り切ることはできないのではないでしょうか?
加えて、たまにムカッとくることはあっても、人々の気が優しく物価の安いベトナムは、なんだかんだいっても日本人にとっては生活しやすい場所です。また貴女の彼氏の故郷がアメリカのどこかによって、貴女が培ってきた仕事の技術や処世術が役に立つのか立たないかも、まったく違ってきます。
結婚を前提にしたお付き合いとはいえ、「万が一ケンカしたときに、自分ひとりで経済的&精神的な自立を保つことができるか」を考えておくことは、決して損にはならないはずです。同国人同士の結婚でさえ、残念な結果になることはあるもの。ましてや国際結婚においては政治や社会制度、コミュニティとの確執など、本人たちのせいではない次元からの問題が降って沸くことだって多いもの。だからこそ「現地の生活レベルに適応可能な貯金残高」や「貴女が現地でできる仕事の有無」など、有事の際の自己防衛の武器が持てるかどうかは非常に大事。幸運にして実際にそれらの「非常手段」を使う機会がなかったとしても、それがあるだけで心にゆとりが持てるものです。
結局のところ、とりあえず誰が困るわけでもなし。ベトナムにおける貴女の仕事や生活に何か変化があるまで、どこまで持つかわかりませんが、遠距離恋愛でお互いの心に試練を与えてみてはいかがでしょうか? 彼氏について行くにしても、別れを告げるにしても、貴女の心の準備が全くできていないのでは、たとえ無理やり結論を出したとしても必ず後悔することになるはずです。
自分で卵の殻を割って生まれ出ることのできないヒヨコは、かわいそうに思って人間が手助けをしてやっても、結局生き抜く力がありません。ベトナムで水を得た魚が、他の国の水でもスイスイ泳げるかどうかは誰にもわかりませんが、少なくとも自分の選択を悔やまない覚悟は必要なはずです。試練の末に貴女の心に生まれるものが、暗闇の荒野を切り拓くための強い覚悟と勇気であらんことを、心から祈らせていただきます。
【今月のまとめ】
「だめだ…こればかりは『命令』できない! お前が決めるんだ…。自分の『歩く道』 は自分が決めるんだ。だが忠告しよう。『来るな』、ナランチャ。お前には向いてない。」 by ブローノ・ブチャラティ
オフィスジパンング・今日の弁当
29屋さんの日記、他ベトナムの宅配弁当店オフィスジパングの弁当ニュースなど。
http://blog.livedoor.jp/info29/
※編集部では、皆さんの明るい悩みを募集しています。
秘密厳守。 相談先は、コチラまで。お待ちしております。
(2008年11月号 / 2008年11月5日 水曜日 14:28JST更新) |