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「マジで言ってるの(泣)? 仕事の指示を拒否するベトナム人同僚に言うことを聞かせるには?」 |
はじめまして29屋さん。私は日本語学校で教員として働いているのですが、ベトナム人同僚の仕事に対する姿勢に違和感を感じてなりません。先日、朝から教材の搬入があったのですが、昼を過ぎても納入業者が現れない。そこで同僚の教員に「遅れている理由」と「いつ着くのか」を電話して聞いてくれるよう頼んだのですが、「どうせ『今、行く』としか答えない。あそこはいつもそうだ」とか「あなた(つまり私)から命令される筋合いはない」とか言うばかりで、動こうとしませんでした。たしかに私は上司ではありませんが、目の前に問題があって、皆が困っているので確認してもらいたかっただけなのです。このようなお役所的対応を同僚にできる神経が信じられません。また他のベトナム人にも同様の態度が時折りあり、その都度ストレスを感じてしまいます。どうすればよいでしょうか?
PN:みちのく太り旅(27歳♂ 日本語教師:ベトナム在住2年目)
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「職分を超えた『和』を求めるべからず。虎の威でも何でも使えるものは使うべし」 |
ある武道の高段者で、長年にわたり世界中の国々で指導経験を持つ先生から聞いた話なのですが、欧米・アジアを問わず、道場や便所を掃除するように生徒に命じると「月謝を払って習いに来ているのに、どうしてそんなことをしなければいけないのですか!?」と拒否されることがよくあるそうです。日本ではほとんどの人が「掃除や礼儀作法も武道修行の一環である」と承知しているものですが、外国人にとってみれば「なんの関係があるの?」と理解に苦しむところだそうで、口でいくら言ってもわかってもらえないとか。
「じゃあ、結局どうするんですか?」と聞いてみたところ、「実際の練習で『こてんぱん』にしてやったら、だいたい大人しくいうこと聞きますね(笑)。それか辞めちゃうか」と、ちょっとばかり乱暴な答えが返ってきました。そのかわり「いったん『この先生の言うことを聞いたら強くなれる』と納得したら、並の日本人よりもよっぽど一生懸命に練習も掃除もやるようになりますよ」とのこと。異文化のルールを守らせるには「力の裏づけ」をことあるごとに証明しないと「先生の威厳」が確立しないため、上下関係をきっちり身をもってわからせる必要があるそうです。
さて、ベトナムにおける職場の力関係についてですが、部下に対する上司の権限は絶対です。よくいえば「個人主義」、悪く言えば「てんでバラバラでまとまりのない」ベトナム人スタッフ。それぞれが勝手に自主性を発揮したりすると収拾がつかなくなるので、多少強引だろうが上司の「トップダウン独裁」の方が確実に能率が上がります。だからこそ、たとえ貴男の提案がどんなに小さなことで、どれほど的確な正論だとしても、各自の割り振られた仕事以外に手や口を出せば「誰の得にもならない越権行為」と見られてしまう危険性があります。上司からしてみれば「俺の地位を奪う気か?」との勘繰りの元になり、同僚からは「勝手によけいな仕事増やすなよ!」と総スカンを喰らうことになりかねません。
日本であれば上司がワンマンすぎると反発も大きく、部下が逆らったり辞めたりすると人事評価にも響くので、上司は適当に部下の機嫌もとらなければいけないもの。ところがベトナムのビジネス社会は気軽な転職が当たり前。その引き金は「ガマン・辛抱」の日本人が呆れるほどに軽く、他人の去就などいちいち気にしていられません。「いやなら辞めれば?」というドライな割切りぶりは、むしろすがすがしさを感じてしまうほど。職場の人間同士のつながりについて、それが縦であろうと横であろうと、「薄い・あっさり・切れやすい」のは仕方がないことなのです。
結論としては、貴男が同僚に動いて欲しいのであれば、職場のルールに従って上司という「虎の威」を借りるしかありません。「そんな小さなことをいちいち相談するなんて、俺の能力を疑われるじゃないか」と思うかもしれませんが、同僚への怒りや苛立ちを不満顔で告げ口するようなみっともないマネをしなければいいのです。提案が通る・通らないは別として、言いたいことがあったら同僚相手だろうが上司相手だろうが、しっかりと主張しておく方がストレスもたまりません。臭いものにフタをして仕事が滞った結果、責任をなすりつけられるのは貴男かもしれないということを肝に銘じ、自分のスキルアップのためにもガッツな戦いぶりを心がけてください。
【今月のまとめ】
「そのときのくやしさも又忘れぬがよい。力が足らんからなのだ。
力を作って今に見ていろという気魄を皆で持とうではないか
」
by 白洲次郎
オフィスジパンング・今日の弁当
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(2008年8月号/2008年8月14日 木曜日 20:09 JST更新) |