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「いわゆるひとつの島国根性?国の違う友人同士に仲良くなってほしいのに…」 |
こんにちは29屋さん。私は欧米系企業で働いていて、今まで仕事もプライベートも欧米人やベトナム人としか付き合いがありませんでした。ですが最近、ようやく日本人の友達ができ、食事や飲み会に誘われるようになってきました。ところが、日本人に欧米人やベトナム人の友達を引き合わせたとき、どうもおたがい他人行儀というか、変に閉鎖的な拒絶感があるように見えてしまいます。日本人の友達も当地で働いているので、外国語での意思の疎通はできます。が、誘われた方も、日本人同士の出来上がった輪の中に入るのは変な気を遣うらしく、2回目以降はあまりいい顔をしません。逆に欧米人のパーティーに日本人を連れて行くと、彼らはしっかりと気を回してくれるので、なんとなく申し訳ない気持ちです。私は文化の違いを超えて仲良くなって欲しいのですが、どうすればいいでしょうか?
PN:夜明けのミッチー(32歳♀:ベトナム在住1年8ヶ月)
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「親睦や友情とは『目的』ではなく、交流の末に生まれる『果実』であるべきです」 |
娯楽の少ないベトナム生活において、新しい友人を作ることは確かに大事であり、そういった意味では貴女の親切心は間違いではありません。ただ「さあ、どうぞ。せっかく連れてきたんだから、盛り上がってください。ほら、どうしたんですか?」と言わんばかりのセッティングは乱暴すぎたのではないでしょうか?「友人になる、ならない」は相性の問題ですが、そもそも欧米人、ベトナム人、日本人にはそれぞれ、パーティーの「場」に対する考え方に文化的な違いがあるからです。
たとえば、実際に留学や仕事で欧米に滞在したことのある人たちから「とにかく年がら年中ホームパーティーばかり開いている」というエピソードをよく耳にすることがあります。フォーマルからカジュアルまでさまざまな限られた時間の中で、なるべく多くの人と出会い、話す。その「つかみ」を確実なものとするために、パーティージョークだの、スピーチ術だの、社交辞令といった「武器」が発達してきたと推察されますが、とにかく「ゆるやかな枠の中で自分なりに楽しみやメリットを見つけて参加するスタイル」であるといえます。
ベトナム人の場合、結婚式や宴会への飛び込み参加者が歓迎されるのを見てもわかるとおり、「酒と笑顔とノリの良さ」さえあれば、宴会の主旨が何だろうが、列席者が誰だろうが、あまり問題にならないようです。逆を言えば、「自分がその場を楽しむこと」に一生懸命なあまり、参加者同士が「1、2、3、ヨー!(乾杯)」以上の交流に発展しないことも多くあります。さらに勘繰れば、ベトナム人は地縁・血縁以外の出会いに極めて用心深い性質で、たまたま宴会で隣り合わせたような人間に対して心を許さないのも処世術のひとつだからではないかと思います。
ところが日本式の宴会の場合、とにかく「その場の和」を乱すことはまかりならぬといった雰囲気があります。勝手に話題を変えたり、各自でバラバラに話の輪を分裂させることはマナー違反なのです。内心どんなに退屈していようが、ともかく宴会の主催者のメンツとその場の空気を気にすることが第一になるので、よっぽど気の合う仲間同士でないと逆に気疲れしてしまいます。だからこそ、「いつものメンバーのルールに従わない存在」は「異物」として扱われてしまい、双方に悪気がなかったとしても歯車が噛み合わないのは当たり前の話。野球の観戦でたとえれば、「試合の流れや周囲を多少気にしながらマイペースでニコニコ」か、「ビール片手に試合そっちのけで各自勝手に盛り上がる」か、または「応援団の音頭とりにあわせて一糸乱れぬコールをかける」ぐらいの違いがあるのです。
結局のところ、「違いを認識した上で乗り越える努力ができる」という資質か、「共通の趣味や利益」を持っている人同士を引き合わせない限り、貴女のガッツは徒労で終わってしまうような気がします。ただ、逆を言えば、貴女は貴女でそれぞれのコミュニティでの付き合いをそれぞれ上手に楽しんでいればいいだけの話ですから、あまり無意味な「お見合い」を斡旋して煙たがられることがないようにお気をつけください。
【今月のまとめ】
「『すべての人類が同胞たらんことを!』
それは、同胞を持たない人々の抱く夢である」
by シャルル・シャンショール
オフィスジパンング・今日の弁当
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(2008年7月号/2008年7月8日 火曜日 11:45 JST更新) |