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「子供じゃないんだから(呆)!日本人の夫が好きなアニメ映画に我慢して付き合うべきなの?」 |
29屋さん、こんにちは。私は日本人の夫と結婚して2年になるベトナム人です。夫婦そろって映画が好きで、いつもケーブルTVやDVDを観て楽しんでいるのですが、先日、夫が「昔、ものすごく好きだった映画を見つけたから一緒に観よう!」と、嬉しそうに電話をかけてきました。夫は映画に詳しく、私の知らない面白い映画をたくさん教えてくれるので期待していたのですが、いざ見始めると何だかロボットが戦ったりするアニメ映画。一生懸命ストーリーを教えてくれるのですが、全然おもしろく思えません。飽きてきたので途中から雑誌を読み始めたら、夫は悲しそうな顔をしながら「なんで、このよさがわからないの?」と怒りだしてしまいました。私は日本語も英語も字幕なしでわかりますが、どうして夫は大人なのにマンガを見るのかわかりません。なぜなのですか?
PN:陳雅青山(29歳♀:ベトナム人の主婦)
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「あえて言おう。それは、"若さゆえのあやまち"ではない、と」 |
世界に冠たるマンガ&アニメ大国と呼ばれて久しいニッポン。ベトナムを含めたほとんどの国では、ものごとを理解する力の低い「子供」や「学のない人間」のためのジャンルであるマンガやアニメ。それが、日本でどうして大人のファンをも巻き込んだ一大産業になっているのかといえば、まず単純に「大人の鑑賞に堪えられるほどクオリティが高い作品が多い」ということに尽きます。
たとえば若く才能に溢れたアーティストがいて、自分の理想とする作品を作ろうと志したとき、テレビや映画の世界では、潤沢な資金と人脈を持った組織に属していない限り、なかなか世間の目に触れることはありません。また、その中で自分のアイデアを押し通せるだけの力を発揮できるポジションへ出世するまでに、歳をとって感性がスリ減ってしまう危険性もあります。
その点、一見子供向けと思えるマンガやアニメの場合、市場の歴史が浅いおかげで、他の媒体と比べて「上」のポジションへの順番待ちが比較的短くて済みます。とりあえず物語の基本設定で宇宙とかロボットといった本来の対象者である子供向けの「目くらまし」を出しておけば、あとは大人向けに自分のやりたいことが表現できる。ストーリーやテーマ、登場人物のキャラクターやセリフにおいて、凡百のハリウッド映画やメロドラマが束になってもかなわないほどの名作が生まれる土壌はここにあるようです。
しかしこのケースの場合、ご主人がこうまでムキになってしまう理由が「映画の出来が良いか悪いか」とか「アニメというジャンルが幼稚か否か」という問題ではないことを、貴女はおわかりでしょうか?
これは日本人同士のカップルでも言えることなのですが、自分の好きな映画を相手に勧めて一緒に見る場合、女性が「作品が面白いに越したことはないけど、それよりも楽しく一緒の時間を過ごしたい」という気持ちが大きいのに対して、男性の場合「自分の好きなものの良さを、論理的に理解してもらいたい」と考える傾向が大きく、ひいては「この映画を面白いと思う俺のセンスの良さを評価してほしい」という欲求が下地になっていると考えてあげなければなりません。
ご主人が大喜びで持ち帰ってきたそのアニメは、子供時代の人格形成に大きな影響を与えた「魂の一部分」であり、今も尚、彼の趣味思考や美学に影響を与え続けている「男の教科書」でもあるはず。加えて、故郷を離れ遠く異国に暮らすご主人にとっては、子供のころに慣れ親しんだものをけなされるのは理屈抜きで腹が立つもの。「心の日本食」を愛する妻に食わず嫌いされることは、即ち自分の全人格を否定されたのと同じくらいのショックなのです。
しかし逆を言えば、これは貴女にとってはチャンスでもあります。たとえ完全に理解はしてくれなくとも、自分が大事に思っているものを尊重してくれる相手というのは、性別・世代・趣味趣向・育ってきた文化の違いを乗り越えてつきあっていくことができるからです。
よって、中途半端な気持ちで社交辞令を言うよりも、「よくはわからないけど、でもなんかスゴイね」と言っておくのがこの場合の正解でしょう。作品そのものの出来よりも、それを愛するご主人の気持ちを大事にしてあげてください。
【今月のまとめ】
「フフ…オレはあいさつ仮面シリーズに生き方を教わったようなものだ…!
好きとかどうとかのレベルではない!」
by 花中島マサル
オフィスジパンング・今日の弁当
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(2008年4月号/2008年4月10日 木曜日 10:31 JST更新) |