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「気分はまるで転校生。友達を作るきっかけが欲しいのに…」 |
29屋さん、聞いてください。ベトナムで働き始めて3ヶ月になりますが、なかなか新しい友達ができません。別に私は人間嫌いなわけでもなく、ふつうに社交性はあると自分では思っていますが、既に出来上がっている人間関係の輪の中に入っていくのは、正直気を遣うものがあります。
同じ職場の先輩たちが仲間内で飲むときに誘ってもらっても、私と同世代の人がいないので仕事の延長のような気分になってしまうのです。かといって、『Vietnam SKETCH』で紹介されているような在住者向けのサークル活動は、スポーツ系のサークルをいくつか体験してみましたが、帰宅部だった私にはハードすぎてついていけないし、私の出身大学の同窓会や故郷の県人会もありません。はじめの一歩の踏み出し方をアドバイスしてください。
PN:仮面の忍者トットリちゃん(26歳♀:外資系企業・現地採用)
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「まずは自分がルーキーであることを素直に認め、一芸を伸ばし名を高めよ」 |
一般的に「外国で暮らす」ということをイメージすると、「地縁や血縁といった日本人特有のしがらみから自由になれる」と思われがちですが、それはあくまで「日本人と交わらずに生きていけば」の話。実際は世間と行動範囲が狭い分だけ、むしろ日本にいるときよりも尚一層、日本人的にふるまわざるを得ないことが多く、息苦しさを感じるという人が多いようです。
しかし、デメリットの裏返しで、メリットの方もより濃密になるという点も、また事実。ベトナムの日本人社会の場合、成立してから日が浅く規模も小さいために、他の東南アジア諸国の大都市のそれに比べてタチの悪い人間が紛れ込む余地が少なく、生活情報を共有するための情報交換はあくまで口コミがベースです。つまり、日本や他の国の日本人社会よりも、はるかに仕事や世代の壁を越えた友人を作りやすい環境であると言えます。
とはいえその垣根の低さとは、異国で奮闘する同志に対する「戦友意識」に裏付けられたものであり、最初の出会いはどうであれ、長い付き合いの友人関係に発展させていくためには、相手の身分や趣味嗜好のみならず、「同程度のテンションを持っていること」が大事になってきます。
漫画『空手バカ一代』の劇中、山奥にこもって孤独な空手修行にはげむ若き日の大山倍達は、人里恋しさで挫折しそうになる自らに喝を入れるため、片方の眉毛を剃り落としてしまいます。当然、こんな珍妙な顔かたちでは人前に出ることが出来ないので、以降眉毛が生え揃うたびに片方ずつ交互に剃り落としては「バカよのう…。まさに、空手バカ…」と自嘲しながら、その暗いエネルギーの全てを常人離れしたトレーニングに向けて使うよう自分を追い込んだわけです。
しかし貴女の場合、いかなる覚悟を持って便利で快適な日本を離れてまで新天地ベトナムに乗り込んでこられたのでしょうか?自分自身が何についてどの程度の「バカ」なのかを見極めた上で、貴女にふさわしいステージに飛び込まなければ、自他共に手持ち無沙汰で居心地が悪いのは当たり前の結果です。最初から「親友」を求めず、まずは「顔見知り」を増やしていきながら、当地での生活に慣れることから始めましょう。
その上で、「自分が主導権を握りながら息の長い友人を作りたい」というのであれば、仕事でも趣味でも何でもいいので得意分野を作り、その「ローカルチャンピオン」を目指すこと。「○○のことならトットリちゃんに聞け!」というところまで己の評価を高める努力をしているうちに、あちらこちらでその評判が広がり、踏み固めた足場の確かさに応じて、おのずと道は拓けて行くことでしょう。
その時、貴女の人徳が放つ熱や光に誘われて集まってくるのが、鯛やヒラメやエンゼルフィッシュのような「実力ある人気者」なのか、はたまたウツボとかダボハゼとか人喰いザメのような「招かれざる客」なのか。誰に遭うことになっても、貴女の「素の魅力」こそが出会いの吉凶を分ける鍵になっていくはず。
今しばらくは、公私共に大小のバトルで傷だらけになることでしょうが、負けずに生き残って経験値を上げてこそ、より素敵な仲間とも出会えることでしょう。ガッツです。
【今月のまとめ】
「癖(へき)のない人間とは付き合えない。彼らには深情がないからだ。
疵(きず)のない人間とは付き合えない。彼らには真気がないからだ」
by 張岱
オフィスジパンング・今日の弁当
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(2008年2月号/2008年1月31日 木曜日 10:55 JST更新) |