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「我が嫁が 我より偉く 見ゆる日よ…。
ベトナム嫁よりも稼ぎの少ない私 」 |
29屋さん、はじめまして。私には日本語教師時代の教え子だったベトナム人の嫁がいます。結婚後、私は転職して日系企業の現地採用社員として働き始めたのですが、専業主婦として私の帰りを待つのに飽きた嫁は、半年ほど前から友達とベトナム人向けの雑貨店を始めました。徐々にですが売り上げも伸び、今月などはついに私の月給よりも多い配当が出たそうです。もともと学生時代から成績が良く目端の利くほうだったし、まあ上手くやるだろうとは思っていましたが、いざ、こうやって嫁が毎日忙しそうに昼夜を問わず出かけていくのを見ると、何だか複雑な心境です。嬉しい、というよりも、現状からの展望があまり見えてこない我が身を振り返ってしまうのです。かといって、ベトナムを離れて就職するわけにも行かないし、どうすればいいでしょうか?
PN:石川豚木(32歳♂:日系メーカー現地採用・ベトナム在住6年目)
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「生活の安定は大事。ただし、男子には夢やロマンを抱き続ける権利があるのです!」 |
貴男のお給料の額や職場環境の良し悪しはわかりませんが、勤め人である以上、退屈だったり、理不尽だったりする苦い思いを胸に押し込めながら、日々がんばっておられることとお察しします。そんな中、小さくとも一国一城の主である奥さんがのびのびとして見えるのは当然かもしれません。ですが、毎月順調な売り上げがあるとは限らないのが自営業の怖さというもの。奥さんのお店とて山あり谷ありでしょうし、貴男の定収入があればこそ、日常生活コストをあまり気にせず、経営に打ち込めるという面もあるはずです。
そもそも、カカア天下で名高いベトナム人女性と結婚しておいて、いまさら家庭内の主導権についてアレコレ思い悩むのは手遅れです。むしろ家庭内で旦那さんの立場が悪くなるとすれば、酒やバクチで身を持ち崩したり、浮気がバレたりしたときぐらいでしょう。その場合はゴクツブシ扱いどころか、寝ている間に○○○を○○○○(痛!)ぐらいは覚悟しなければならないようですが、それはさておき。とりあえず生活に困っているのでないならば、現時点で気に病む必要はないと思います。
とはいえ、あまり長い間、無理やりプライドを飼い殺し続けると、ある日突然、損得勘定をヌキにして暴走してしまうことがあります。それは、今も昔も変わらない男子特有の本能であり、貴男は常に自重しなければいけません。
その昔、「虎穴に入らずんば虎児を得ず」の格言で有名な後漢の武将・班超という人がいましたが、彼は40歳になるまで都・洛陽のうだつのあがらない文官でした。ところがある日の仕事中、「もう、こんなチマチマしたデスクワークはイヤだ!辺境で手柄立てて出世するのが男ってもんだぜ!」と、突然ブチ切れて筆を放り出し、皇帝の近くに仕える兄のコネで、望みどおり西域征伐の隊長となったのです。以来30年もの間、異郷を転戦し、いくつもの大功を立てますが、今から2000年前の平均寿命を考えると、当時の「40歳デビュー、70歳引退」というのは、とんでもない遅咲きのヤンチャであります。結局、やるだけやって気が済んだのか。彼は都が懐かしくなって帰郷を嘆願し、洛陽に戻ってその波乱の生涯の余生を送ったそうですが、ここまでスケールの大きな現実逃避をやりきったからこそ、今までイヤでしかなかった「都での退屈な日常生活」が「探していた幸せの青い鳥」に思えたのでしょう。
「ここ」ではない「どこか遠く」に今以上の幸福があるのではないか、という根拠の無い希望。それは人間が進歩する上で必要な衝動ではあります。しかし歴史に記されるのは常に成功したケースのみであり、ほとんどの失敗者については「昔々、こういうアホがおりました」の一言で片付けられてしまうのも残酷な事実。貴男の場合も「現在の生活のベースをブチ壊してでも、今すぐ何かに挑戦してみたい」という誘惑の声が心の中から聞こえるかもしれませんが、敢えて急がずじっくりと力を蓄えた上で、少しでも確実なチャンスを待った方がいいと思います。
また、そのために必要な勉強や人付き合いの時間を捻出するのは、ベトナム人の奥さん相手だと相当にタフな申請作業になるでしょうが、大マジメかつ気長に貴男のロマンを語ってみることです。心を捨てさえしなければ、いつかはきっと野望に一歩でも近づけるはず。ガッツです。
【今月のまとめ】
「人と交われば愛情が生じ、それによって苦しみも起こる。愛から禍(わざわ)いが起こることを受容れ、犀(さい)の角のようにただ独り歩め」
by 釈迦
オフィスジパンング・今日の弁当
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(2007年12月号 | 2007年12月7日 金曜日 10:54 JST更新) |