「憎みきれないロックでなし！イケメンの ベトナム人バンドマンにひと目ボレ 」

　29屋さん、こんにちは。今までベトナム男性はまったくの恋愛対象外だと思っていた私ですが、先日知り合いから紹介されたベトナム人ギタリストにひと目ボレをしてしまいました。彼の親戚は有名な歌手だそうで、彼自身も年に何回か音楽の仕事で国外に出かけるほどの腕前。演奏する姿もカッコ良すぎです。私と同い年なのに2回の離婚歴があるところは少しだけ気になりますが、お金があるのに浮ついた感じのない彼の、ベトナム人男性には珍しい「オトナ」な態度にも惹かれてしまいます。周囲の友人からは、「そんなに素敵ならモテないはずがない」とか、「絶対、遊び人に決まってる。止めておいた方がいいよ」などと言われるのですが、まだ何も始まっていないのに諦めるなんてイヤです。彼と上手なお付き合いを始めるには、どうしたらいいでしょうか？よろしくお願いします。

PN：ナンシー潮崎（26歳♀：ベトナム在住6ヶ月目)

「『芸のためなら女房も泣かす』ような人種から、ふつうの幸せがもらえるとは限らない」

　一般的にベトナム男子の愛情表現というのは、アプローチを受ける側の女子にしてみればストレートかつ純朴に映る反面、「2回ぐらいしか会ったことないのに、『I LOVE YOU』とか毎日メールが入る」とか「私だけかと思ってたら、私の友達も同時にアタックされていた」というように、その「節操のなさ」と「ガッつき加減」がしばしば問題視されています。要するに「一見カッコ良くても、中身は浮気モノのガキんちょ」と、いうわけです。

　そんなベトナム恋愛社会において、バツイチ男性というのは「精神的に成熟してる」と受け取られるようで、妙齢のベトナム女性からの人気も高いとか。ましてや、貴女が好きになったギタリスト氏のように「若くて金持ち」とくれば間違いなくモテることでしょうし、ライバルも多いかもしれません。トップ争いから一歩抜け出すためには、何でもいいからセールスポイントが必要です。その点、貴女は「外国人である」というだけでも希少価値があるでしょうし、何よりもベトナム女性の場合「片思いの男性に直接アタックする」という行為は人目を気にして実行に移せない人がほとんどだそうですので、貴女にとってはチャンス。功をあせって「食い逃げ」されないように、用心しながらであれば、素直かつ大胆に好意を表明することができます。

　ただし、首尾よく彼を射止められたとしても、その後に、大きな問題が1つあります。昔から「役者・物書き・ミュージシャン」と言う職業は、「ヤクザ商売の三横綱そろい踏み」扱いされていますが、これは必ずしも「一握りの成功者以外は『ド』のつく貧乏」といった経済的理由からだけではありません。あらゆる芸術は、現実のノーマルな社会での「非日常」または「非常識」が目に見える形で結晶したもの。才能のある人間ほどその「狂気」の振り幅が大きく、部外者やファンが見ていて面白い分だけ、身内や家族が苦労しなければなりません。

　このギタリスト氏が、どれぐらいベトナム音楽業界でエライ人なのかはわかりませんが、少なくとも食うに困らないだけの技量や人脈を持っているということは確かなはず。つまりそれは、どっぷりと「非日常・非常識」の世界に身を預けて生きていることを意味し、決して平々凡々とした勤め人のマイホームパパではなかったと推察されます。「ステージ上のカッコいい彼が好き」と言うのであれば、貴女は彼の「非日常・非常識」な部分をどこまで許容していくかを、自分で判断しなければならない時が来ることを忘れてはいけません。

　たとえばデートの約束を急なリハーサルですっぽかされたり、彼が創作活動に没頭している最中に話しかけると「うるせえ！」と灰皿を投げつけられたり、レコーディングやコンサートツアーなどで何週間も会えなくなったりすることだってあるかもしれません。普通のベトナム女性並みに「嫉妬は愛情の証」とばかりに怒り狂うか、「日本女性＝おしん並みの忍耐強さ」という一般ベトナム人の持つイメージどおりに振る舞えるか、つまりは貴女の決意次第で、この恋が次のステップに進めるかが決まるでしょう。ガッツです！

オフィスジパンング・今日の弁当
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（2007年11月号 | 2007年11月8日 木曜日 10:47 JST更新）