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「倍率ドンっ!家族づきあいをしていたはず
の大家さんから、法外な値上げ通告 ! 」 |
聞いてください、29屋さん。ホーチミン市で雑貨店を営んで3年になるのですが、店舗の大家さんからの心無い仕打ちにショックを隠せないでいます。先月、店の内装をリニューアルしたばかりだというのに、「次から家賃は2倍ね。イヤなら出て行って」と一方的に通告されたのです。たしかに最近、市内中心部の家賃相場が急に値上がりして、商売をしている友人たちが皆困っているという話は耳にしていました。しかし私の場合、大家さん一家とは、親戚の法事や結婚式に必ず呼ばれたり、子供たちとも仲良く遊びに行ったりしていたので、こんなにあっさり掌を返すようなことを言われるとは思ってもいませんでした。立ち上げから苦労を重ね、ようやく商売が軌道に乗ってきたところだというのに、悔しくてたまりません。2倍の家賃は払えないし、どう気持ちの整理をつけたらいいでしょうか?
PN:パパゲーナさおりちゃん(33歳♀:自営業)
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「金の切れ目が縁の切れ目。知恵と勇気と柔軟性で生き残るべし」 |
「値段交渉は、相手の言い値の半分くらいから交渉をスタートしてみよう!」というマメ知識がガイドブックの類に「常識」として載るようになって久しいベトナム。その原則で考えれば、最初に「倍」と吹っ掛けられた家賃だって、交渉次第では2〜3割増しぐらいで落ち着きそうな気がしないでもないのですが、最近のベトナム都市部の賃貸住宅・店舗環境は「超」がつくほどの売り手市場。慢性的なホテル不足を当てこんで「にわかミニホテル」に商売替えする大家もいれば、店子が知らない間に大家が他人に物件を売ってしまう場合もあり、決して磐石とは言えません。
その上、商売や生活に便利な市内中心部の物件は、たとえどんなにボロだろうと狭かろうと、常に見知らぬ誰かがウェイティングリスト上に名を連ねて「空き」を心待ちにしているか、もしくは秘密裏に大家と接触し、現在の住人よりもよい条件をチラつかせている可能性があります。その場合、現行の店子との契約が切れる月に大家に無茶な値上げ条件を提示させたり、今まで友好的なつきあいをしていた態度をコロっと豹変させて追い出しにかかるわけです。
その際、傍から見れば「そこまでして、新しい店子は採算が取れるのか?」という至極真っ当な疑問が浮かびますが、この場合はナンセンス。「競合相手より大きく投資すれば、大きく儲かるんや!」などと単純に考えて、相場と採算を無視したお金を出そうとするニューカマーの商売が上手くいこうといくまいと、目先のお金に眼がくらんだ大家さんからすれば、「どうせウチの金じゃないし、次のカモはいくらでも来るもんね〜」くらいのことなのです。
さらに非道なケースだと、店子の経営するお店のビジネスが安定経営になった段階で「確信犯的に追い出しをかけて乗っ取る」と言う例も最近はよく耳にします。旧住人が出て行った後、店の名前や外観を可能な限り「そのまんま」にしておいて、しばらくしてから何食わぬ顔で大家さん自らがオーナーとなって営業を「再開」するのです。これも「商売の自由」と言い切ってしまえばそうなのかもしれませんが、ベトナム人の「@ガイジンは所詮他人A金儲けのチャンスをみすみす逃すのはマヌケB日本と比べて物価が安い=義理人情を売り渡す金額も低い」という信条を常に警戒しなければなりません。日本人同士でもありえる話ではありますが、沸点が低い分、確率としては起こりやすいのです。
結局のところ、貴女が大家さんの息子とでも結婚しない限り、大家さんにとって貴女は「歴代の店子の1人」でしかないのです。「家族のように親しい間柄」と「家族」は紛れも無い別物であり、前者は往々にして希望的観測に基づく誤解だったり、生々しい利害関係をカモフラージュするための一時的な関係に過ぎません。度を越えた「親愛の情」は「そうまでしてでも歓心を買いたい事情があるのだな」と逆に足元を見られる結果にもなります。恨み言や泣き言を並べたり、意地になって無用なケンカをしかけたところで無意味です。大家さん一家との良い思い出だけを胸に留め、ご商売へのダメージを最小に食い止める努力の方にエネルギーを使ってください。たとえ場所が変わって一時的に規模が小さくなろうとも、この苦い経験によって貴女のご商売はさらなる進化を遂げるはず。ガッツです。
【今月のまとめ】
「勇気が必要なのは過去を求めず、積み重ねず、しがみつかないこと。
誰もが過去をひきずり、執着するからこそ、今を生きることが出来ないのだ」
by シュラ・ラジニン
オフィスジパンング・今日の弁当
29屋さんの日記、他ベトナムの宅配弁当店オフィスジパングの弁当ニュースなど。
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(2007年10月号 | 2007年10月9日 火曜日 10:47 JST更新) |