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「事故発生は時間の問題?一時帰国で車の運転が不安…」 |
はじめまして29屋さん。来月、1年ぶりに一時帰国する予定で、今から買い物だの食べ歩きだのとウキウキしながら分刻みのスケジュールを立てているのですが、ひとつだけ心配事があります。それは久々に運転するマイカー(死語)で、人をハネたり、電柱や信号に激突してしまいそうな気がしてならないということ。もともと私は車の運転が苦手で、日本でも車庫入れに失敗して植木鉢などをよく壊したりしていたのですが、この1年の間に通勤バイクとはいえ、ベトナム流の無法運転が染み付いてしまったような気がして、自分自身が恐ろしく感じられます。昨夜も「お隣の犬をベスパと車で2度も轢いてしまった夢」を見て汗ビッショリ。しかし、実家は電車やバスの便も悪い田舎にあり、車にはどうしても乗らざるを得ません。いったいどうしたらいいでしょうか?
PN:紙のドライバーRADICAL(26歳:♀現地採用11ヶ月目)
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「明日のために練習あるのみ。もしくは、勇気を持って試合放棄せよ」 |
ベトナムを訪れた日本人がする誤解のひとつに、通勤ラッシュ時の街でバイクの洪水を見て「いやぁ、こんな無茶苦茶な道で車の運転なんかぜったい出来ないなあ」というものがあります。
車検制度で最低限のメンテナンスがほぼ全車にいきわたっており、道交法と各種保険に保護されている日本の道路事情。それに対してベトナムは、無茶な追い越し・割り込みは当たり前。ノーヘル・飲酒・過積載に、警察さえ見ていなければ平気な顔で信号無視。改造手術を繰り返した年代モノのバイクで、木下大サーカス顔負けの定員オーバー。運悪く事故っても、当事者同士の話し合いか、取っ組み合いで負けた方が泣き寝入りする弱肉強食の世界です。
一見すると、日本人の想像力が及ばない人外魔境ぶり。恐れおののくのも無理はありませんが、混沌の中にも秩序アリ。ひと昔前には市内中心部でも、頭が「スイカ」のように割れた死亡事故を結構なハイペースで見かけていたものですが、最近はベトナム人も運転が上手くなって来た(当社比)ようですし、阿吽の呼吸といいますか、なんとなく一定の法則ができてきているのは間違いありません。
要するに流れにさえ乗っかることが出来れば、あとは意外と楽なもの。それが証拠に、日本では車の運転が苦手だった貴女が、すんなりとバイク通勤しているではありませんか。
結局のところ、「日本と比べてベトナムの交通マナーが悪い」と感じてしまうのは、単純に「環境とルールの違い」と言えます。これはスポーツで例えると、ぱっと見が似たような競技だからといえ、100m走とマラソン、卓球とテニス、空手と柔道、ラグビーとアメフト、大食いと早食いぐらい違うものなので、どちらか一方に慣れてしまってから、そう簡単に転向できるものではありません。要求される心・技・体の違いが積み重なって、一瞬の判断力や長時間の集中力に大小さまざまなギャップが生まれ、油断した瞬間にとんでもないことをしでかす可能性があるのではないかという貴女の心配は、まったくもって正しいと思います。
短期間の一時帰国とは言え、事故を起こすには1秒あれば十分。どうしても車に乗りたいというのであれば、帰国前にベトナムで運転手(教官の代わり)つきのレンタカーを1日借りて、どこかの空き地か河原で、ぐるぐるとバターになるまで自主練習しておきましょう。それでもイマイチ自信が取り戻せないのであれば、どうしようもありません。いっそのこと完全帰国する時まで車の運転を封印し、代わりに自転車なりローラースケートなり、乗合馬車なり何なり、地元のお年寄りや子供が使っている移動手段でがんばってみてはいかがでしょうか。
「不便さ」の中にある「ゆとり」こそ、ささやかな贅沢。能率を捨てる代わりに、故郷の風や景色をゆっくりと体感できるでしょうし、ひとつひとつのスケジュールにゆっくりと時間を掛けてみれば、忘れていた「大切な何か」を思い出せるかもしれませんよ(適当)。
【今月のまとめ】
「誰も傷つきはしない、傷は心の問題だ。もし君が歩けるのなら、走ることだって可能だ。」
byビンス・ロンバルディ
オフィスジパンング・今日の弁当
29屋さんの日記、他ベトナムの宅配弁当店オフィスジパングの弁当ニュースなど。
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(2006年9月号/2006年9月12日 火曜日 11:06JST更新) |