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「友を訪ねて何百里。突然始まった宴のサカナは…俺?」 |
29屋さん、こんにちは。今度の夏休み、駐在で働いている旧友G君(仮名)を訪ねて、2度目のベトナム行きを予定中なのですが、少しユウウツです。というのも前回の旅行の際、静かに男同士で語り合おうと彼の行きつけの店に行ったのですが、彼の友人たちが既に泥酔状態。初対面の私にも妙にフレンドリーで、九州出身だというだけで「おいどん」というニックネームをつけられ、常に一気飲みのコールにさらされる破目になりました。それにしても驚いたのは、つい数年前まで私と同様に朴訥(ぼくとつ)とした田舎者だったはずのG君の、そんなハイペースな遊び方にすっかり馴染んだ変貌ぶりに唖然。旧友に会うのは嬉しいのですが、またそんな飲み会になるとしんどいなあ。でも彼の顔も立てなきゃいけないし、どげんしたらよかでしょうか?
PN:おいどん(28歳:♂ 会社員 日本在住)
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「おとなしく付き合うか、それがイヤなら、旧友が日本に帰任するまで待ちましょう」 |
「士、別れて三日なれば、すなわち刮目(かつもく)して相待つべし」という言葉があります。たとえば名作マンガ『ドラゴンボール』の劇中において、教育ママに甘やかされて育てられた孫悟飯くん。ですが、来るべきサイヤ人たちとの決戦に備え、短期間で戦士として鍛えるために、父のライバル・ピッコロが取った手段は「荒野に置き去り」でした。結果、わずか半年後には恐竜の尻尾をぶった切ってバーベキューにして食うような野生児に育ち、やがては世界を救う男へとなるわけですが、それにはまず「生き残ること」が第一というわけです。地球の運命がかかった最終決戦を前に、しょうもないことでリタイアしては本末転倒。拾い食いで腹を壊したり、草むらでトイレ中に毒蛇に咬まれて死んでしまってはいけないのです。とにもかくにも、本来の性格や好き嫌いにかかわらず、ワイルドにならねば生きていけない環境。みごとに想定外の自己変革を成し遂げたわけですが、まあ、これはマンガの話。
ここまで極端ではないですが、現実の世に生きる人間もまた、周囲の環境に合わせてその行動や人格を変えていく生き物です。しかもベトナムのビジネス社会は「荒野」であり、「ジャングル」なので、温室育ちのひ弱なモヤシっ子の出番はナシ。勝つためには殻を破って「知性のある野獣」へと進化しなければなりません。一方、夜のプライベートタイムは、穏やかな文明人に戻るための「盛大なガス抜き」であり、その方法は人によって様々。スポーツに打ち込んだり、家でプレステをしたり、パッチワークしたり、もしくは単純に「酒」。いずれの方向に向かうにしても、長時間通勤や面白いテレビ番組のない当地。学生時代のごとき集中力で物事に向かい合えるので、何をやっても短期集中の上達は間違いなしです。
貴男の旧友Gさんにしても、日本では予想もできないような大小の事件が次々とおこる当地において、ハードな洗礼を受け続けています。恐竜の尻尾とはいかずとも、沼魚を素手でつかまえるぐらいはできるほどに野生化の真っ最中。昔を知る貴男から見て奇異に映るほどのハイスピード・ラリーだって、別にヤケクソになってやっているわけではなく、日本人社会で自己をアピールするための協調性の産物なのです。涙と開き直りを繰り返しているうちに身についた、いわば「苦肉の処世術」と言っても良いものなので、大目に見てあげてください。
結論としては、次回のベトナム訪問時に貴男がとるべき行動とは、2つに1つ。旧友のベトナムでの生活を尊重し、一緒になって前回同様の洗礼を受けるか、それともラウンジかバーにでも行って気を遣わずに金を使うか、です。ただ前者の場合、貴男と旧友だけではなく、その場に居る全員が何らかの形で「いつものメンバー+1」という違和感を吹っ切るためのターボをかけなければいけなくなります。大して気乗りがしないのであれば後者の方が実は旧友にとっても楽チンであるという事実を、どこかで覚えておいてあげてください。あと、任期が終われば、旧友の「変身」は解け、「日本人」に戻っているはず。ただし、時々、元に戻れない人とかも居るので、そのときには生温かく見守ってあげてくださいね。
【今月のまとめ】
「高千穂明久という名のレスラーはミズーリ川に身を投げて死んだ…。
今、おまえたちの目の前にいる男は、東洋の神秘、ザ・グレート・カブキだ!!」
by ザ・グレート・カブキ@『プロレス・スターウォーズ』
オフィスジパンング・今日の弁当
29屋さんの日記、他ベトナムの宅配弁当店オフィスジパングの弁当ニュースなど。
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(2006年7月号/2006年7月24日 月曜日 10:35JST更新) |