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「ミッション・インポッシブル? ニセ真珠販売の土産物屋から返金してもらえるのか。」 |
29屋さん、こんにちは。先月、日本に一時帰国したのですが、困ったことになりました。以前ベトナムに遊びに来た叔父と会ったところ、ぷりぷりと怒りながら、とある店の名刺と領収書を出し、「この店に行って、金を取り返してきてくれ!」と言うのです。なんでも、土産物屋で数百ドルで購入した"黒真珠"を帰国後、開封してみると、実は塗料を塗っただけのパチンコ玉。しかも売り子が"若くて正直そうな美人"だったらしく、叔父の口惜しさも倍増。「ゴチャゴチャ言うなら、『そんな商売をして恥ずかしくないのか?』と言ってやれ!」と頼まれたのですが、正直、効果があるとは思えません。結局、まだその店に行ってませんが、叔父からは毎日のように確認の電話が来ます。いったい、どうしたらいいのでしょうか?
PN:酸っぱい大作戦(21歳:♂ベトナム留学10ヶ月目)
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「木に登って魚を求めたり、虎に向かって『野菜食え』と言ってはいけません」 |
黒真珠といえば、タヒチ島あたりが有名な産地ですが、はたしてベトナムでも採れたのでしょうか?
それはさておき、香木やルビー、銀製品など、意外にも高価な名産品が多いベトナム。ガイドブックやインターネットを通して得た知識をもとに、掘り出し物を求めて街を徘徊し、あわよくば日本で転売しようなどと甘い夢を見る人も多い今日この頃ですが、そうは問屋がおろしません。土地勘もネットワークもない観光客が運まかせで歩く範囲内にそんなウマイ話が転がっているのであれば、とっくの昔に誰かが手をつけていると考えるのが合理的です。「"アナタ"にだけ特別に教えてアゲマス!」という耳寄りな情報は、"アナタ"以外の誰に対してでも、もれなくなされているセールストークであると心得るべきでしょう。
しかも骨董だの宝石だのというものは、当たるも八卦、当たらぬも八卦。『値打ちものを見分ける眼力』と『リスクを負う覚悟』がないド素人がスケベごころ丸出しでウロウロするのは危険も危険。カモがネギを背負っているどころか、ポン酢と土鍋とガスコンロまで持ち歩いているようなものです。貴男の叔父上にはお気の毒ですが、引っかかるべくして引っかかったとしか言いようがないでしょう。
ご承知の通り、この国は、ベトナム人同士が食料や日用品を売り買いするのでさえも、『三国志』顔負けの腹の探り合いと権謀術数が渦巻いている修羅場です。ましてや旅先で財布の紐と警戒心がユルくなっている外国人観光客を狙った、詐欺まがいの商法を確信的に行なう人間であれば、堂々の「スジガネ入り」であることは疑いありません。「道徳がどうのこうの」とか「この店はインチキだって評判を広めるぞ」と言った所で、逆ギレか無視されて終わりです。「エモノは次から次へとやってくるのだから、いちいち関わっていられるか!」という、「強気」を通り越した「開き直り」は、もはや「悟り」の領域に達し、説得を試みるだけ無駄というものです。
結論としては、「授業料と思って、パチンコ玉を記念にとっておくしかない」ということになってしまいますが、多分、貴男の叔父上は納得されないでしょう。今後の貴男の親戚付き合いを考えると、一応、義理は果たしておくべきです。
具体的には、とにかく「黒真珠」と領収書を持ってその店に一度行ってみる。おそらく「そんなものは知らない」「うちが売ったものじゃない」「その叔父さん本人を連れてきてみろ」「とにかく金は返さん」という返事のどれか(または全部)が返ってくるはずなので、ありのままを叔父上に伝える。それでも叔父上の気が済まないというのであれば、ご本人に再度ベトナムに来てもらい、直接バトルしてもらうしかありません。
しかし、「騙された怒り」は「=自分の見る目のなさに対する照れ隠し」の要素も強いので、大体の場合はそこまで怒りが持続することはありません。きっとブツブツ言いながらも、あきらめてくれることでしょう。ともあれ、貴男自身にしてみれば「金が絡んだ時の人間のエゲツなさ」を体験できるチャンスでもあります。どうせ他人事なので、ゲーム感覚で楽しんでみてください。
【今月のまとめ】
「人間とは他人の嘘をたやすく気づくものではあるが、その嘘が自分にとって都合のよいときには、それを信じるものでもある。」 by ヒルティ
オフィスジパンング・今日の弁当
29屋さんの日記、他ベトナムの宅配弁当店オフィスジパングの弁当ニュースなど。
http://blog.livedoor.jp/info29/
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(2006年5月号/2006年5月24日 水曜日 10:24JST更新) |