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「毎日がエブリデイ!?新鮮味のない日常生活に、少し飽きてきちゃったんですけど…。」 |
はじめまして29屋さん。私は日系ベンチャー企業の1人駐在員として赴任。ようやく仕事も軌道に乗り始め、落ち着いてきたところなのですが、アフターファイブについては非常に欲求不満になっています。もともとイベントが大好きで、日本ではほぼ毎日、どこかで何かに参加していた私ですが、この国では「やること」がなさすぎです。カラオケに行けば数年前の古い曲。映画はベトナム語の吹き替え。コンサートも心の底から楽しめないベトナム歌謡ばかり、買い物さえ30歳の日本男子が欲しいものは何一つありません。友達と会うにしても、「いつもの店で、いつものメニュー。いつものメンツでいつもの話題」と、全く変わりばえ無し。このモヤモヤとした退屈を吹き飛ばすには、どうしたらいいものでしょうか?
PN:タコ墨スパゲッティ(30歳:♂ベトナム駐在2年目)
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「不足しているのは刺激ではなく、飢餓感。少し"空腹"になってみるべし」 |
短期の旅行であれば、見るもの聞くもの食べるもの、そのすべてが新鮮で驚きに溢れているものです。しかし、それも物珍しさがなくなるまでの話。「非日常」が「日常」へと変わってしまうと、とたんに違和感と疲れを感じてしまうのは、異国暮らしで訪れる最初の試練と言えます。
ベトナムでのアフターファイブは、笑っちゃうくらいにバリエーションが少なく、こっそりお忍びで穴場に行ったつもりでも、必ず誰かに見つかってしまうほどの世間の狭さが悩みの種。また数自体が少ないのも問題ですが、有料・無料を問わず受けられるサービス、エンターテインメントの内容についても不満の声が大きいようです。
もちろん飲食、ショービジネス共に、次から次へと新しい試みがなされてはいますが、明らかに何かを勘違いしたようなものもあれば、人気が出始めた途端に油断してレベルがガタ落ちするものもあったりして、まだまだ試行錯誤の真っ最中。いずれ上質なものだけが生き残って、全体の底辺レベルがアップしていくにしても、まだまだ時間がかかるはず。日本人が合格点を与えられるような娯楽の数が絶対的に不足しているので、すぐに頭打ちしてしまうというわけです。
その昔、何もない砂漠のど真ん中に世界一の歓楽街ラスベガスを作り出したバグシー・シーゲルという人がいましたが、貴男がそれぐらいの野望と資金の持ち主でもない限り、現時点での「夜遊びメニュー」の少なさを、個人の力でどうにかすることは残念ながら不可能。いさぎよく諦めてください。
では、どうすればいいのかといえば、方法は2つ。1つは、しばらくは水族館の魚の如く、ぐるぐると決められたコースの中を回遊してみること。周囲に流されて、知らないうちにどんどんガッツが削られていってしまうという危険性もありますが、少なくとも群れからはぐれる危険性はないので、情報収集や新しい友人作りのために網を張って気長に待つことはできます。
もう1つの方法は、「必要のないときは外出しない」という方法。苦しみと孤独と退屈の時間が長ければ長いほど、心と体の「今、得られない何か」を求める力が強くなっていくのを感じるはずです。「盲腸手術の断食明けに初めて口にする一椀の白粥」、あるいは「炎天下の作業のあとに飲む一杯の冷たい水」のように、追い詰められた精神・肉体状態で味わうものほど魂をゆさぶる美食というのは、高級レストランに行けば味わえるというものではありません。時間が空いたときは安易に外出せず、仕事や勉強やスポーツや妄想などで貴男自身に苦行を与えてみたり、1ヶ月に1度、朝から晩までバナナしか食べない日を作ってみたりして、人工的なピンチを作り出してみては如何でしょうか?
もっとも、あまり極端な苦行に走ると(例:メコンデルタで野宿、骨格が変形するほどの断食など)、深刻に体を傷つけたり、変人扱いされて本当に友達がいなくなったりするかもしれませんので、何事もほどほどに。
【今月のまとめ】
「あすもまた、同じ日が来るのだろう。幸福は一生、来ないのだ。それは、わかっている。
けれども、きっと来る、あすは来る、と信じて寝るのがいいのでしょう」 by 太宰治
オフィスジパンング・今日の弁当
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(2006年3月号/2006年3月1日 水曜日 8:08JST更新) |