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本気か!? 手塩に掛けたベトナム人社員が、あっさり転職…。 |
29屋さん、はじめまして。駐在員として当地に来て2年。任期を終えるまでに、少しでも私の技術や経験を残していこうと、積極的にベトナム人社員の輪に飛び込み、自分なりに頑張ったつもりでした。しかし先日、個人的に一番目を掛けていたマネージャー候補が辞職を申し出てきたのです。仕事に対する考え方の違いの他、個人的な悩みも相談に乗り、彼とは単なる仕事を超えた人間関係を築けたと思っていた矢先の話でした。待遇に不満があるのであれば改善も考えると、話し合おうとしたのですが、その理由を聞いて呆然。「会社が家から遠いから」。そんなダメ高校生みたいな理由で、今までの仲間を放り出していくというのは、どういうつもりなのでしょうか? 思いが通じなかったかと、ちょっと、がっくりきています。
PN:ワシントン譲治(38歳♂:日系メーカー駐在員)
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立場の違う人間の言葉は、一方的な願望の押し付けにしか聞こえないことがあります。 |
「仕事を離れた人間関係」などというものは、まず仕事の上での実績と信頼が出来てから口にするべきものですが、それでも1000人のうち1人と、そういったプライベートな付き合いが続けば良い方です。仕事の絡んだ酒食・歓談は、腹の探り合いが絡んだ社交辞令。常に一種の演技があるのは、何も社外のお客さんに対してだけではないはずです。
「鶏口(けいこう)となるとも牛後(ぎゅうご)となるなかれ」という諺があります。大組織に属して末端で使われるよりは、小さくともいいから己の力で頑張りなさいよ、という意味だそうですが、ベトナム人の独立志向は本当に強く、仕事を覚えた途端に辞めてしまうといった話を聞くのは、貴男からが初めてではありません。加えて、家族と過ごす時間を第一に考えるベトナムの民族的価値観において、通勤時間の長短や残業の有無などは非常に重要な問題であると言えます。そうなると、どのように慰留したところで彼らの人生です。去りたい者は去らせるしかなく、泣き落としたり引き止めたりすることは、他の社員にシメシが付かないばかりでなく、その当人が増長するきっかけにもなりますので、絶対にやめましょう。人が抜けても代わりは必ず、どこかに居るのです。
ただし、あんまりコロコロ人が代わっていては業務に差しさわりが出るというもの。優秀な人材が少しでも長く働きやすい環境を作るのは、経営者・管理者の責務です。私の親しい、ある社長さんは、マネージャー候補を面接する時に、本人の意欲や性格をみるために、必ず「5年後には、いくら給料が欲しい?」という質問をするそうです。加えて、似た業種・規模の会社の給与相場を常に情報収集し、功ある社員に対しては積極的に昇給などの特典も適宜与えています。またベトナム人マネージャーの責任で雇用、企画、営業などを任せる前に、目標ラインを提示し、達成の場合の成果主義による昇進やボーナスなどで、少しずつ「自分の目の前だけの作業」から「会社全体の利益を考えた仕事」へと視野を広げていく社内教育も不可欠です。
ともあれ、たまたま一緒に働く人間全てが、夢を共有できるとは限りません。一人の去就に一喜一憂せず、養分豊富な土壌で人材を育てる「人事畑」というシステムを作り上げてください。「立場の違う人間の言葉は、一方的な願望の押し付けにしか聞こえないことがあります。」
【今月のまとめ】
酒がつくり出した友情は、酒のように一晩しかもたない。byローガウ
オフィスジパンング・今日の弁当
29屋さんの日記、他ベトナムの宅配弁当店オフィスジパングの弁当ニュースなど。
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(2005年5月27日 14:55更新) |