No.100 料理教室講師
北部で生まれて短大を卒業した後に、仕事でホーチミン市に来ました。旅行会社や新聞社に勤めた後、結婚を機に家でこまごまとした仕事をするようになりました。
その頃から日本語の勉強をはじめ、2年間、日本語学校に通いました。その後も日本語を話す機会が多く、まだまだ下手ですが、日本人と会話ができるようになりました。
2004年から2年程、日本食のレストラン兼カフェをやっていたことがあり、その時に日本食の基礎を習いました。ラーメンやうどん、丼ものなどの他、サンドイッチやパスタも出していたので、洋食にも詳しくなりました。
その後、旅行会社とタイアップして日本人旅行者を対象にベトナム料理を教え始めました。自宅が教室なのでキッチンスペースに限りがあるため、5人までの少人数で教えています。メニューは全部で100種類くらいあり、そこから3品を選んでもらいます。
日本語で教えているのですが、最初はベトナム特有の野菜やハーブの日本語名がわからずに苦労しました。でもインターネットや本などで調べたり、料理に詳しい日本人に尋ねたりして、だんだん覚えていきました。
日本人とベトナム人は衛生や時間の観念が違います。生徒さんは日本人なので、そこは日本人の考え方に合わせてなるべく不愉快な思いをさせないように気をつけています。また、日本にない食材を使う料理では、かわりの材料を提案したり、日本風のアレンジを考えたりして、日本へ帰ってからも料理してもらえるように工夫しています。
北部料理の味付けが基本ですが、南部や中部料理のメニューもあります。どんな料理でも砂糖を少なめにして、化学調味料は使わずに、シンプルな味を目指しています。
もともと料理は好きだったのですが、近年はいろいろな情報が入るようになり、また各国料理のレストランもありますので、外へ出かけて行っては料理のヒントを探しています。
だから家で作る料理はごちゃごちゃで、キムチとパスタとみそ汁なんて組み合わせもあります。最近は梅干しや納豆、ぬか漬けなど、日本の伝統料理に挑戦しています。またレアチーズケーキやティラミスなどの洋菓子も、どうやったら美味しくできるかを研究中です。
今は、料理教室の生徒として知り合った日本人が新しく立ち上げるレストランの手伝いを頼まれ、忙しい毎日です。メニュー開発からスタッフの面接、役所への届け出など、以前レストランをやっていた時の経験を生かしています。開店後はプロデュースの仕事だけになるので、それまでもうひと頑張りです。
料理教室はまだまだ盛況とはいえません。もっと多くの人に利用してもらえるようにホームページを作ったり、広告を出したりしていますが、なかなか難しいですね。
将来は日本へ行き、さらに日本料理やケーキ作りなどの勉強をしたいです。そしてできれば日本でベトナム料理レストランをやってみたいと思っています。
文・構成=笹原亮(ジャアク商会)
イラストレーション=mik ad design
(2010年1月号/2010年1月29日 金曜日 16:30更新)
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