フロントオフィスマネージャー
ホテルのフロントオフィスマネジャーというのは、お客様との接点を取り仕切る仕事なんです。レセプション、ビジネスセンター、そして車のサービスなどを統括しています。
私は大学で英語と経営学を学んだのですが、就職活動の時、いろいろな国の人と仕事をしたいと希望して、ホテルを選びました。最初はレセプショニストとして、その後、フロントオフィスの仕事をするようになり、現在はマネージャーをしています。
マネージャーになると、お客様との仕事はもちろんのこと、スタッフ相手の仕事もしなければなりません。幸い私には、1スタッフだった時の経験がありますから、そのことを思い出しながらスタッフと接するようにしています。お客様との対応においても同じですが、相手が何を言いたいのか、何が必要なのかをよく聞いて理解することが大切だと思いますね。
とはいえ、私もホテルに入ったばかりの頃は、なにもかもが新しいことばかり。外資系のホテルなので、ベトナムのやり方と違うことも多いのですが、それがプロの仕事だと思って学びました。そうやって、ホテル独特のやり方を身につけることで、みんな1人前のスタッフになっていくのだと思います。
お客様への対応で大切なことは、お客様1人ひとりで違う好みを理解して、覚えること。このホテルはビジネスでのリピーターが多いので、例え4、5年ぶりに戻っていらっしゃったとしても、そのお客様の好みや誕生日などをきちんと覚えておくことが、より快適に過ごしていただくための第一歩だと思っています。
もちろん、時にはお客様からの苦情もありますよ。ですが、そんな時にも、やはりまず、よく聞くこと。そして問題点をはっきりと理解することを心がけています。きちんと謝り、調べて、それからしかるべきフォローをすれば、問題が大きくなる前に解決することができるのです。ホテル側に非があれば、後でミーティングをして、同じ問題が2度と起きないように、対策を練っておくことも大切ですね。
ただ、一番困るのは、大切なお客様にご予約頂いたのに、お部屋がないときですね。こればかりはどうしようもありません。最近は系列のサービスアパートができたので、そちらを臨時にご利用頂いていますが、以前は1泊だけ他のホテルにお泊り頂いていました。そんな時にも、すぐにきちんと事情を説明して、ご理解頂くことが大切でしょう。
私は10年間、ずっと今のホテルで仕事をしてきましたが、マネージメント方法や人間関係も大変良好です。ですから、将来もずっとこの仕事を続けていきたいと思っています。
文・構成=笹原亮(ジャアク商会)
(2006年2月号/2006年2月20日 月曜日 8:28更新) |