古着屋
前は市場にブースを持っていて、新品の服を売ってたんだよ。それが1990年頃から、古着を仕入れられるようになったんで、場所を移して古着屋を始めたのさ。店のまわりは今ではオシャレな洋服屋街になってきてるけど、その頃は軒並み古着屋が並んでいて、この商売には最適な場所だったんだ。
それからずっと、婦人物の古着一筋だよ。幸い建物の奥がアパートになっていて、この店はその共同スペースだから、みんなの意見が一致しないと追い出されないんだ。それでずっと古着屋のまま商売が続けられているんだよ。
古着服は全部外国製だからね、ベトナム製のモノよりデザインも素材もいいし、何たって値段が安い。愛好家も多くて、けっこういい商売になるんだ。季節や曜日はあまり関係なく、平均して日に数十枚は売れるね。朝9時から夜8時まで、毎日店を開けている。テト(ベトナムの正月)は休むけどね、それ以外はほとんど無休。家はバイクで20分ほどのところだから、毎日ここに通っているんだよ。
服の仕入れは月に1〜2回、自分で出かけるんだ。1回にだいたい1000枚から3000枚くらい買い込む。そういう専門の場所があってね、男物と女物に分けられていて、大きな箱の中にジーンズならジーンズ、ワンピースならワンピースって具合に、カテゴリー別の商品が詰まっているのさ。それを箱ごと買うんだ。中身を全部点検できるわけじゃないから、見極めがすごく大切でね。うまくいい物が多い箱を仕入れたときは、ホントに嬉しいね。逆にB級やC級が多いとがっかりするけど、そういう時はとにかく安めの値段をつけて、早くさばくようにしているんだよ。
この店には本当にいろんな客が来る。若い子達も来るし、中年のおばちゃんも買いに来る。外国人もよく来るよ。観光客もいるし在住者もいる。そういう幅のひろい客層にマッチするように商品を選ぶのが難しいところだけど、逆にいえば多少偏った商品でも売れるってことだね。常連客も多いから、そういう人たちの好みを覚えておくのも大切なポイントさ。そうすれば、すぐに好みの服を紹介できるだろう。いつも好みの服があるっていうのは大事なことだからね。
将来もずっとこうやって商売を続けていきたいけど、古着の扱いがどう変わっていくのか、先が読めない部分も多いね。まあ、心配してもしょうがないから、とにかく今はこうやって毎日働いて、店が続けられなくなったら、その時に次のことを考えるつもりなのさ。
文・構成=笹原亮(ジャアク商会・Cafe Siesta)
(2005年12月16日 金曜日 8:46JST更新) |