カメラ修理
親父はいろんなカメラをばらして独習した修理屋でね、その親父から習い覚えて、16年前に修理屋になった。シンガポールニコンの人がベトナムに来たとき、どこか修理ができるところはないか、と言うんで、ベトナムのニコンディーラーがその人に紹介してくれたんだ。
その縁で数年前に2度シンガポールに行って、F4、F5、F70なんかの修理の講習を受けたんだよ。今年もう一度行って、今度はデジタルカメラの講習を受けることになってるんだ。
ニコン以外のカメラも直すよ。部品はアメリカにいる友人に頼んだり、それでもダメなら作っちゃう。だからアンティークカメラでも修理できる。日本人が日本からライカやミノックスを持ってくることも珍しくないんだよ。だけど、デジタルカメラはそうはいかない。これは部品と検査機器がないと手に負えないね。だからこれからは部品供給のルートを確保したり、検査機器を導入したりしなきゃならなくなるね。
この店のスタッフは10人。みんなここで修理を覚えて、働いている。3年くらい修行して、やっと一人前だね。父もまだ現役さ。ライカやローライを専門に直しているよ。 この店で直すカメラやレンズは月にだいたい200から250台。雨期はレンズが黴びやすいから、クリーニングが多いね。乾期は結婚式が多いから、今度はボディの修理が多くなるんだ。直しやすいのはニコンとキヤノン。なかでもニコンは一番部品が外しやすい。オリンパスは作りが複雑で難しいね。
この仕事は客としっかりコミュニケーションを取ることがすごく大切。大事なカメラを預けるんだから、信用してもらわないとね。だから客の話をよく聞いて、どこが悪いのか、なにをして欲しいのか、完全に理解する。そして客が納得するまで説明する。あとは約束の時間を守って作業することが大事なんだよ。
将来は別の街に支店を出したいと思っている。例えばブンタウなんかにね。なにしろ遠くから壊れたカメラを持ってやってくる人が多いんだ。そんな地方の客に少しでも便利なように、支店網が充実できたらいいなあ、と思ってるんだ。
文・構成=笹原亮(ジャアク商会・Cafe Siesta)
(2005年6月18日 土曜日 8:44JST更新) |