フーティウ屋台
90年にクアンガイ省から出て来てね、弟が中国人のやってるフーティウ屋で働いてたんで、作り方を習ったんだ。それから14年間、ずっと屋台商売さ。
市内のあちこちに場所を移して、ブンタオにも行ったことがあるけど、2年ほど前からここに落ち着いた。前は他の人が屋台を出してたんだけど、やめちゃったから引き継いだんだ。午後2時から8時頃までここで売って、それから300mほど離れた大通りに移る。夜はあっちの方が人通りが多いからね。この道をずっと屋台を引いて歩いて行くのさ。そして売り切れたら1日がお終いだ。
助手が2人いてね、ヤツらは出前係。カンカンカンって金属片をたたきながら歩き回って出前を取ってくるんだ。ヤツらは同郷で、家に寝泊まりして食事も一緒。テトが終わった頃に田舎につれて帰って、家族に1年分の給料を払う。見習いだから、たいした額じゃあないけどね。フーティウは1杯3000ドン(約20円)だよ。メニューは他に中華麺のミーとワンタン。それから例えばフーティウワンタンみたいに組み合わせもあるから、全部で7種類だね。どれも3000ドンだよ。
1日の仕入れはフーティウの麺が10kg、他の材料と合わせると20kg位になる。それで150杯分くらいだね。前にタイバンルン通りでやってた頃は外国人の客も多かったけど、今はほとんどベトナム人。学生や勤め人、歌手なんかも来るんだ。そうそう、近くに住んでる日本人も時々来るよ。
フーティウの麺は、機械で乾燥させたのと、天日に干したのがあって、天日の方が味がいい。だから仕入れの時は、天日のヤツを仕入れるようにしてる。あと難しいのはスープ。豚骨を煮て作るんだけど、失敗すると濁るから、透明なスープになるように注意しなきゃならないんだよ。毎日こうやって働いても、家族5人が生活するのは大変だ。だから朝は製麺所に手伝いに行って、麺の配達なんかをして稼ぐんだ。その間に女房が仕込みを手伝ってくれるってわけさ。
ホーチミン市の中心部は、だんだん屋台の規制が厳しくなってきた。だからいつまで屋台商売が続けられるか分からないけど、もうしばらくはこうやって麺を湯がく毎日が続きそうだね。
文・構成=笹原亮(ジャアク商会)
(2005年2月18日 金曜日 17:20更新) |