バイオリン屋
元々は外資企業でOLやってたんだよ。それが、95年に主人が店を出すというんで、あたしがマネージメントをすることになったんだ。主人はヴァイオリニストで楽器も作るし演奏も教える。だからこの店はヴァイオリンを中心にチェロやビオラ、バスなどの弦楽器を主に扱っているんだよ。
部品や材料は、ほとんどがオーストラリアや中国から輸入している。完成品はドイツやフランス、イタリアからだね。ヴァイオリンの値段はピンキリで、一番安いのは60ドル、高いのは1000ドル。イタリア製の1万ドルなんてのも扱ってるよ。修理もするよ。接着部分の剥がれをなおしたり、ニスを塗りかえたり、ブリッジや弦を新しくしたりする。2週間から1ヶ月くらいで、150ドルもあればきれいになるよ。
20平米もない小さな店だけど月に250ドルもの家賃を払ってる。でもこの通りは楽器屋街だから、場所は悪くないんだよ。卸売りもやってるから、月に100台近くのヴァイオリンが売れるんだ。ベトナム中の業者はもちろん、音楽学校の学生や越僑、それに在住の外国人も買ってくれるんだよ。ヴァイオリン以外かい? 友人が伝統音楽用の楽器を作ってるから、そういうのもたくさん置いてあるよ。
こっちは材料も全部ベトナム国内で調達して、すべてハンドメイドさ。アメリカなどへの輸出が多いねえ。その他にはエレキギターなんかもあるよ。ギターは国産品が多いけど、中国や台湾からの輸入品もある。もちろん弦やチューナーなども輸入しているよ。店は毎日8時から18時まで。6歳の息子がいるから、ずっと店にいるわけにはいかないけど、スタッフには英語ができる子もいるから大丈夫だよ。楽器関連の品物ならたいていのものは調達できるから、店頭になくても気軽に聞いておくれ。
息子は1年ほどピアノを習っててね、来年からはヴァイオリンも教えるつもりなんだ。あたし自身はヴァイオリンはちょっと弾けるくらいだね。難しい楽器だからしっかり練習しないとうまくならないんだけど、なかなか時間が取れないのさ。今度は是非、主人のヴァイオリン作りの話も聞いておくれよ。
文・構成=笹原亮(ジャアク商会)
(2005年1月11日 火曜日 15:15更新) |