洗濯屋兼服直し屋
サイゴン (ホーチミン市) に出てきて、最初は縫製工場で縫子をしていた。田舎にいた頃から独立したかったんだけど、何をしたらいいのかわからなくてね。バイクの修理屋で働いている時に、知り合いがやってる洗濯屋が流行っているのを見て、ピンときた。そいつは家庭用の洗濯機を路上に出してるだけなのに、すごく忙しそうなんだよ。それでオレも洗濯機を買って始めたんだけど、家庭用のじゃ小さいし、力も弱い。だから自分で図面を引いて特注した20kg洗える洗濯機を使ってるんだ。それで1日100kgくらい洗うよ。洗濯代は1kgにつき3000ドン(約20円)さ。
この店は大通りに面してるから受付窓口さ。実際の作業はちょっと離れた場所に借りている、もう少し広いところで妻が仕切ってるんだ。乾燥機も置いてあるよ。オレはここで受付をしてるけど、それじゃあヒマなんで、何かできないかと考えて、服の直しを始めたんだ。最初はテーラーもいいかなって思ったんだけど、今は既製服を買う人が多いから、そのサイズを直す方がいい。それで洗濯屋と兼業してるってわけさ。今じゃあ一人じゃさばききれなくて、縫子2人、洗濯にも2人雇ってるんだ。
洗濯も服の直しも、急ぎは1日。普通は3日くらいで終わらせる。洗濯で難しいのは、色落ちしたり、その色が他の服に付いたりすること。間違って他人の服を渡しちゃうこともある。いい服だと、気づいても戻してくれない人がいてね、そんなときは弁償するしかないね。
服直しは、元のデザインが変わらないように気をつけているよ。例えばズボンを細くするとしても、全体のシェイプが変わらないように気をつけないと、元のズボンと全然違うものになっちゃうだろ? それじゃあまずいよね。
2つの仕事を夫婦でこなして、月に大体800万ドン(約5万6000円)くらい残る。今は借家住まいだけど、ビンユンに土地を買ってあるから、そこに家を建てて店を移してもいいね。あるいはそれは売っちゃって、この辺に家を買ってもいい。その辺はまだあまり深くは考えてないんだ。いずれにせよ、これからは従業員を10人くらい使うような、もっと大規模な事業にしていきたいと思ってるよ。
文・構成=笹原亮(ジャアク商会)
(2004年10月7日 19:04更新) |