ベトナム家庭料理の定番栄養満点「カイコのさなぎ」

カイコのさなぎを
ベトナム人はどうやって食べる？

　近年、昆虫食のムーブメントが世界的に話題になっているが、ベトナムでは昔から「カイコのさなぎ／Nhộng Tằm」を食用として利用している。特産品である絹糸を採取した後に大量の「産業廃棄物」として残るさなぎを食材として使い、タンパク源として調理したり、販売して農家の副収入になったりしている。

　一般的な調理法としては、カイコのさなぎをライムの葉と一緒に揚げる。カイコの脂がライムの葉のさわやかな風味でマイルドになり食べやすい。ベトナム北部では家族の食事や大衆食堂（Cơm Bình Dân）でよく見かけるが、南部ではスーパーや市場でも売られている。

健康に良い栄養がたっぷり！
デメリットもあるので注意を

　カイコのさなぎには脂質、たんぱく質、ビタミンなど健康に良い栄養素が豊富に含まれている。日本では俗に「カイコ３匹で鶏卵１個分の滋養に匹敵する」と言われるほどだ。また、ベトナムの薬膳料理においては、子どものくる病（骨軟化症）を予防したり、関節疾患をもつ人々に良い効果が得られるとされている。漢方薬としても、乾燥粉末が喘息の治療に用いられている。
　
　デメリットとしては、カイコのさなぎに含まれるアミノ酸のひとつに、食べすぎるとじんましんや鼻づまりの原因となるヒスチジンが含まれているため、アレルギー体質の人は注意が必要だ。