たべもの文学抄／月餅／Bánh Trung Thu

焼き皮の月餅。月餅販売が盛り上がるのは中秋節の約1ヶ月前で、ブース販売が多い

1年に1回しか食べられない月餅

陰暦の8月15日（陽暦の9～10月）にあたる中秋節には、緑豆やフカヒレなど幅広い味に、生皮と焼き皮の月餅が定番。最近はシンガポール風のアイス月餅や、抹茶など以前はなかった味の月餅が流行っている。

子どもが好むムーンケーキ

ハン・ガー（Hang Nga）という天界の妖精が、ケーキ作り大会のアイデアを得るため地球に偵察に訪れた。そこでいつも村の子どもたちと遊び、お手製のケーキを皆にあげていた子ども好きのクオイ（Cuoi）という男の人と出会った。ハン・ガーは彼の料理の腕を高く評価し、2人でケーキを作ることにした。「素材を全て混ぜてから焼いてみよう」というクオイの意見から、卵、肉、ハスの種などをケーキの中身として入れ焼いた。完成品は美味しく、子どもたちは喜んで食べた。ハン・ガーがそれを持って天国に戻ろうとしたとき、彼女と離れたくないクオイが強く手を握ると不思議な力で一緒に空を飛んでいた。天国の大会では2人のケーキが優勝し、「中秋のケーキ」と名付けられた。優勝の褒美として毎年満月に2人が地上に戻り、子どもたちと遊ぶことを許可してもらった。中秋ケーキはそこから満月の日に欠かせないお菓子になり、特に子どもたちの大好物となった。