人生相談29屋にきけ！フォ!!!! ／第04回

29屋（にくや） 食材＆弁当屋の店主。本業の傍ら、かつては「愛と勇気とほんの少しのお金」など本誌人気コラムを担当。本コーナーでは、ベトナム暮らしのさまざまな悩みをバッサリ解決（！？）します！

Q.「放っておいた俺が悪い？遠距離恋愛の彼女を同僚に奪われた！」

ペンネーム：馬田鹿之助　29 歳♂在ベトナム歴２年

29 屋さん、聞いてください。私には、駐在前から社内恋愛で付き合っていた恋人がいたのですが、先日の帰国時に突然別れを言い渡されました。曰く、長い間離れているうちに寂しくなり、いつの間にか私の同僚とくっついてしまったとのこと。目の前で泣きながら謝る彼女と同僚に何も言えず、ベトナムに戻ってきたのですが、正直、混乱が収まりません。どうすればいいのでしょうか？

A.「それでも尚、貴男は、人間に絶望することなかれ」みんな悪いけど、みんな悪くない。

例えば、女人の脚に見とれて神通力を失ったとされる久米仙人や、戦地に出征した恋人を忘れて金持ちと結婚した『シェルブールの雨傘』のカトリーヌ・ドヌーヴの如く。どんな聖人君子でも「魔が刺す」ことはあるし、貞淑一途な純情女子が寂しさに負けてしまうこともあるのが、恐ろしくも面白いところ。たとえ、彼女さんと同僚氏が真剣交際だとしても、貴男にとっては裏切り以外の何物でもないし、勝手に謝られてスッキリされたって迷惑千万。かといって、彼女さんの方で「一度きりのアヤマチ」で済ませてしまうつもりがないからこその告白と謝罪なのでしょうから、元の鞘に収まることは難しいでしょう。覆水盆に返らず。こぼれたミルクを嘆くのは無駄無駄無駄ァ！　ここはひとつ、顔で笑って心で泣いて、にっこりさっぱり手を引きながら、「ふっ、てめえが海外駐在になったら、この女、どうせ他の男と浮気するんだぜ。ざまーみろ！」と、心の中で呪いをかけておくに留めておくべきではないかと、おすすめする次第です。

周りに甘えすぎるなかれ。周りは甘やかすなかれ

人間は一度でも愛した人や、一度でも信じた友を、たとえどのような仕打ちを受けたにせよ、そう一方的に憎めはしないものです。「あの時、もう少し『サイン』に気づいていれば」などなど、自らを苛むあれやこれやが、ふとしたさびしい時に、貴男を奇襲攻撃してくることでしょう。防戦一方の苦しい時間帯ですが、ま、しょーがないです。キリストやブッダでさえも、悟りの直前、心の中の魔物からきつい目に遭わされているのですから、凡夫である貴男が苦しいのは当たり前と割り切り、夜明け前の暗さを噛み締めながら、いつの日か、まだ見ぬ誰かと出会い、この苦しみが終わるのだと、希望を抱き続けましょう。ガッツです。