第70回 脂質異常症を／侮ることなかれ

症例

今回のドクター

①脂質異常症とは？ かつては「高脂血症」とよばれた「脂質異常症」。単にコレステロールなどの脂質が高いという意味ではなく、血液中のLDL（悪玉）コレステロールや中性脂肪が多すぎる、あるいはHDL（善玉）コレステロールが少ないなど、血液中に含まれている脂質が正常値ではない状態を指します。 放置すると、脂質が血管壁にたまって動脈硬化を引き起こすばかりか、心筋梗塞や狭心症、脳梗塞などを招いてしまう恐ろしい病気です。自覚症状がほとんどないのが特徴で、深刻な病気になってはじめてその重大さに気づくことになります。 健康診断などで指摘されても、気に止めない人もいるのでは？　それではせっかくの健診も宝の持ち腐れとなってしまいます。 ②不摂生な生活が最大の敵 甲状腺や腎疾患などの病気、遺伝性のもの、経口避妊薬などの薬の副作用などが引き起こす場合もありますが、最大の原因は不摂生な生活習慣だといわれています。 高カロリーの脂っこい食事はもちろん、アルコールやおつまみを過度に摂取することは、LDLや中性脂肪を増加させ、肥満の原因になります。喫煙によってHDLが減少し、動脈硬化を促進することも判明しています。 ③ただちに生活習慣の見直しを まずは食生活の改善から。飽和脂肪酸（獣肉類の脂肪）１に対して不飽和脂肪酸（植物性脂肪や魚の脂）を1.5～２の割合で摂るようにし、ビタミン、ミネラル、食物繊維もバランスよく取り入れましょう。 オートバイやタクシーに頼りがちなベトナム生活ですが、適度な運動も大切です。日々の積み重ねが重要ですから、通勤時に意識して早歩きをしたり、階段を使用したりするなど、無理なく続けていける方法を試してみてくださいね。