朝6時。とうに早朝のウォーキングを終えたおじさん達が、街角のカフェで仕事前の一服と、たばこの煙をくゆらせている。昼12時。真っ白なご飯にあつあつの焼き豚肉をのせ、にがうりのスープとともに「いただきます」。会社勤めのOLたちが、路上の屋台でおしゃべりに花を咲かせながらのランチタイム。そして夕方6時頃。キーンと冷たいソフトクリーム屋は、今日も学校帰りの子ども達でいっぱいだ。
なんてことのない日常が、当たり前のように広がっているサイゴン。「ココナッツジュース、冷たいよー!」と、流暢な日本語で呼びかけてくる売り子のおばさんも、最新のファッションに身を包んだ若者も、だれもがこの街の生活を謳歌している。外国人である私たちがこうした風景を懐かしむのは、勝手な思い込みなのかもしれないが、それを受け入れ、さらにありあまる魅力を見せてくれるこの街。やはり、どこか懐かしい。 |