<伝統衣装に、今こそ熱い風を吹かせたい>
現代のアオザイデザイナーが語る。
「モダン・アオザイ」とは?
■レ・シー・ホアン(Le Si Hoang) |
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profile
1962年生まれ。美術学校を卒業後、美術講師として大学で教鞭をとる。90年ころからアオザイのデザインを手がけ、数々のコンクールで賞を獲得。現代アオザイの先駆者として、一躍注目を浴びる。ヨーロッパ、アメリカなど海外でもショーを開催 |
■新しさを加えることでアオザイはいつの時代でも着られる伝統衣装
「アオザイは、元来非常にシンプルな普段着として着られてきました。その後、ベトナムの歴史において、他民族の文化や外国の情報の影響によって変化してきたのです。つまり最先端のアオザイとは、伝統を尊重しつつ、その時代の好みや目的に合ったデザインを重視したものだと言えるでしょう。
例えば、私が始めた特殊な塗料でシルク生地にペイントするやり方は新しい志向ですが、刺繍なども含め、すべて手作業で行うのは伝統的な方法です。さらに、今の時代のアオザイはスーツケースに入れてもシワにならない、自宅で洗えるなど実用性も重要ですね。また、体型が変わっても直さないで着られるよう、ストレッチ素材を使うのも工夫の1つです。
残念なことに、伝統衣装は時代の進化に伴い廃れていく運命にあるものもありますが、私はアオザイが忘れ去られてしまわないよう、2005年より、6〜12歳の子供たちを対象にアオザイデザインコンテストを開催しています。既存のデザインを着るだけでなく、自らがデザインを行うことでアオザイに積極的に関わってもらうことが狙いです。アオザイが身近にある環境で育てば、将来彼らもその時代にあったアオザイを着てくれることでしょう。
また、店では毎晩、モデルたちがさまざまなアオザイを着て登場するショーを行っています。実際に着て動くことで、ペイントしたデザインがより活かされてくることを感じていただきたいですね。
とにかく全ての女性に、アオザイを身近に感じてほしい。アオザイの魅力とはデザインや布だけではなく、人が着ることでより美しく見えることにあるのですから。」 |