<ハロン湾クルーズ 新時代>
ジャンク船、ハロン湾クルーズの過去・現在・未来
ジャンク船とはもともと中国における船の様式のひとつで、平底で帆をもった木造船のこと。古来より、中国に近いことからハロン湾でも類似の船が多数使用されてきた。
そして現在、ハロン湾で「ジャンク船」と言えば、最初に古来のジャンク船を宿泊用に改造、営業を始めたフンハイ社の影響から、主に木造で宿泊施設のついた船を指すようになっている。ただし、中国古来の船と同様、各船に大きな帆は付いているが、実際の動力はエンジンのため、帆を使用することはない。また、以前はハロン湾で造られることが多かったが、近年技術力が必要な大型船が増えたため、高い技術をもつ造船所のあるゲアン(Nghe An)省やハーティン(Ha Tinh)省などで造られるようになっている。
しかし、ジャンク船による観光業が盛んになる一方で、実はハロン湾は新たな問題も抱えている。現在、ハロン湾に浮かぶ観光船は約300隻。年々増える観光客に対応するため、各社がしのぎを削り増やしてきた。しかし2006年4月、ゴミの投棄、汚水の垂れ流し、観光船からの油の流出と、船が与える環境悪化を懸念したユネスコが、「これ以上の造船は許可しない」と宣言した。素晴らしい景観ゆえに、訪れる人による破壊も進むハロン湾。現地の人々はもちろん、訪れる観光客もまた、その保護に協力できるかどうかが、今後問われてくる。 |