旧家に住む責任。 今の姿が無くならないように。
ベトナム、中国、日本と、様々な国の建築様式が取り入れられた、ホイアンを代表する伝統家屋。通常吹き抜けとなっている中庭部分に屋根が架けられ、しかもそれが日本の屋根と同じ形をしているのが面白い。
「私が子供の頃は、普通の家だったんですよ。ごはんを食べて、夜は寝て。生活の場として、他の家と何の違いも感じてはいませんでした。」
ホイアンに残る伝統家屋の代表ともいえる「Phung Hung(フーン・フン)」。1780年に建てられ、1985年、ベトナム文化庁からベトナムの歴史を伝える貴重な建物に登録された。Tran Quang Thanhさん(48歳)は、その8代目オーナー。普通の家が一変、歴史的建築物として扱われだした、その全てを見てきた人物だ。 「先祖は中国や日本と貿易をしていた商人でした。つばめの巣や香草などを扱っていたそうです。だから中庭の屋根に見られる日本様式や、欄干の中国様式など、様々な要素が混ざり合って、この家は建てられているのです。」
ダナンの建築大学を卒業し、1989年まで建築家として活躍していたThanhさん。しかし、家の価値が一変し、それとともに彼の人生も変わったという。「この家の価値はホイアンの観光業にとって重要でしたので、観光に来た人が気軽に見学できるように、家を開放する必要があったんです。人々が訪れるようになったのは確か1993年くらいから。結局、その少し前に仕事を辞めました。細かな修復や見学の準備に追われるようになったんです。」
そして今、彼は手工芸品の工場を営んでいる。伝統家屋だからといって、国からの援助はほとんどないと言う。入場チケットから分配される収入も1人2000ドン(約15円)。おもてなしのお茶や、電気、水道代などで全て無くなってしまうとか。
「家の修理にしても自分で直さなければならない。もちろん国にお願いすることはできると思いますが、それをすれば国の物になってしまう。先祖から代々受継がれてきたこの家を、手放したくはないんです。伝統の家に住むからには、責任も出てくる。でも、それが家族の団結に繋がっているのは嬉しいですね。今の形を後世にも残す、その作業を私の息子や孫たちが守っていってくれるように祈るばかりです。」
家名 Phung Hung 住所 4 Nguyen Thi Minh Khai St. 電話 (0510) 862235
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